のぞみN700A編成
かつて自営業者として仕事をしていた時に、新幹線での出張と云えばグリーン車をよく利用する事があった。特に広島あたりから東京へ帰る際には、前夜の宴会の疲れもあってグリーン車を頻繁に使っていた。それでも経費削減と云う事で、例えば広島乗車から新大阪までのJR西日本区間は”ひかりレールスター”の普通車指定席を利用し、のぞみグリーン車は新大阪からだけ利用したものである。新大阪で乗り換えの為ホームを移動するのは一手間だったが、”ひかりレールスター”の指定席なら2人+2人がけシートがグリーン車並みだし、新大阪~東京のグリーン料金は5150円(消費税アップ前)かつ座席に備え付けの社内誌”WEDGE”(400円相当)を持ち帰れるから、実質的にそう大変な出費だと感じなかった。
現在の会社では一嘱託の身分、平社員となったから出張もグリーン車などとは縁がなくなったが、まあ人間はその程度の我慢ならばすぐに慣れるものである。しかし今回の大阪マラソンは、久しぶりに身体を酷使するとあって、往復とも奮発してグリーン車を利用する事にした。久々のグリーン車だと思いながらやや興奮して東京駅で待っていると、やってきたのはN700A(advancedの意味)編成で、それも車端の”A”ロゴも大きいJR東海所属の最新鋭車両である。このN700A編成は東海道新幹線において285キロで走行する区間を増やすため、従来のN700系のブレーキや走行システムを改良し、かつカーブでは車体を傾けて速く走れる様にした車両である。ただ同じAでもまったく新しい編成と、従来のN700系をA並みの走りが出来る様に改造したN700A(スモールA)編成があって、走りの性能は同じでもいわばAは本物、スモールAは後からのアップグレード版編成と云う事になる。
という事で、いつも東海道新幹線に乗る際には純正N700Aに当たらないかとひそかに期待していたが、本物Aの本数はスモールAよりはるかに少ないとあって、なかなかAに乗るチャンスに当たらない。それが今回は気張ってグリーン車にしたら偶然の本物A編成とあって、マラソンを走る前にこれはラッキーな事だと嬉しくなった。内装については双方そう変らないものの、シートモケットは純正版が良いとの事で雰囲気もちょっとゴージャスな感じがする。着席するや早速お約束の缶ビールの蓋をプシュっと開けつつ乗り心地を体感していると、改造版Aよりも心なしか加速も揺れもソフトな気がしてくる。走りの装置は変らぬはずなのにスムースに感じるとすると、これは普通車ではなくグリーン車に乗っている事によるプラシーボ効果なのかもしれない。しかし払った料金分はウンと楽しまねば損と、大阪まで一睡もする事なく乗り心地を堪能したのだった。
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