JR西日本227系新型電車のブリンカー
東京を離れ各地に行くと、かつて国鉄時代に画一的に設計・配備された電車が、その地に応じて様々に改造されて、未だに活躍しているのを見る事ができる。例えば広島に行くと、ダイダイと緑色に塗られて大阪地区で走っていた115系電車が、グレーや白色に塗りなおされて働いており、車両自体はいささかくたびれているものの、その変わった色使いが鉄道ファンの我が目を楽しませてくれる。とは言ってもやはりJR各社が、それぞれ創意工夫を凝らして地区ごとに導入した新型の車両を見たり、それに乗ったりするのはもっと楽しい事である。
という事で、先日広島へ出張した際に印象深かったのが、JR西日本によって広島地区にぞくぞく新造増備されている227系新型電車だった。広島ベースのこの電車は、車両の内外共に赤ヘル・広島カープのレッドを意識した赤系の色でデザインされ、その愛称を”レッドウイング”と云うのだそうだ。台車は最近のJR西日本のお約束、一両にモーターのついた電動台車と付随台車を一台づつ配置した0.5M方式というのがわれわれ関東人には興味をそそられるが、この新型電車で一番目を牽くのが運転台の両脇やや下に突き出ているまるで馬の目隠し(ブリンカー)の如き巾30センチ、高さ1メートルほどの板である。
今回は呉から広島まで新型227系電車に乗る事ができキョロキョロしていたが、広島駅で乗務が終わって交代する運転士に「この板は何の為にあるのですか?」と尋ねると「乗客がホームから車両と車両の間に転落するのを防止するためです」との返事。なるほど東京や大阪と違いこの地区では乗客の多寡に応じて、編成を2両・3両から最大8両まで分割・併結するから、しばしば運転席がついた車両同士が隣り合って連結される事になる。運転席同士の連結は普通の妻面同士の連結より車両間のギャップが大きくなるので、酔っ払い客などがそこに転落する危険も多くなるようだ。最近ではほとんどが8両や10両固定編成の首都圏の電車にはない広島地区のひと工夫で、「ほほぅー!そうか」と思わず鉄オタの好奇心が呼び起こされたのである。
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