安全保障法案公布
この度、安全保障法案が公布、来年3月末までに施行される事が決まりほっと一安心である。この法律が制定される事は極めて当然、むしろこんな内容で中国の急速な軍国化や朝鮮半島の暴発など、我が国の周囲に起きている事態に対処できるのかと危惧される抑制的な安全保障法案である。何せ中国は漢や唐時代を念頭において自国の勢力を拡大したい上、太平洋の西半分を自ら管理すると意欲的だし、北朝鮮もいよいよ末期的状況に陥っていつ暴発してもおかしくない状況である。案の上、中国と韓国だけが今回の安全保障法案に反対の様だが、それ以外のアジア各国は概ね好意的で、なぜ一部の日本人だけが自虐的に”徴兵制が復活”などとおよそ在りえない嘘と、”戦争法案”などとタメにするキャンペーンを打つのか実に不思議なところである。そういえば法案採決前に野次馬根性で国会前の反対デモをヒヤカシに見学に行ってみたが、地方ナンバーの貸切バスを仕立てて参加する集団も目につき、特定の考え方を持った団体による組織的な動員がなされている事が歴然である。
こちらは定年後の嘱託社員の身、さして忙しくもないので昼ひなかにしばしば日比谷の図書館に行っては、最新の月刊誌や週刊誌を片っ端しから読んでいる。岩波の「世界」などサヨク誌は別にして、この安全保障法案については、むしろ海外の学者や評論家の方が適格な評価をしている事がこれらの本から良くわかる。「ドイツ帝国が世界を破滅させる」(文春新書)で我が国でも最近話題のフランスの人口学者エマニュエル・トッドは文芸春秋9月号で、日本の軍国主義は20世紀の始めのごく短い間の出来事であり、当時は欧米列強が揃って同じ事をしていたのに、なぜ日本の軍隊がまた暴走すると日本人だけが恐れるのか疑問を呈している。トッドの指摘に対しては、この現象は云われるところの進駐軍の見事な洗脳教育(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)の賜物であり、それに乗った朝日・毎日・東京などの大メディアの成果だと答えるべきであろうか。
読売新聞の日曜日の特集「地球を読む」(9月27日付け)では、親日家で知られる元米国務長官のリチャード・アーミテージのコラムが掲載されていたがこれにもうなずくところが多い。いわく「日本をとりまく安全保障環境は2000年当時と比べ、はるかに危険性を帯びている」とし、今回の法案によって軍国主義が復活するなどという恐れは「目下の財政事情、政治的環境においては、まったくありえない話である」と極めて常識的な考え方を示している。また違憲性を争点とした国会での論議は「成熟した民主主義にふさわしいもの」でかつての「脆弱だった『大正デモクラシー』時代の繰り返しでなく・・・」と述べ、日本の民主国家ぶりを日本人より評価しているのである。世界中で認められている自衛の権利、それも我が国の危急に関する限定的なものを、米国の戦争に巻き込まれるだの軍国主義復活などと一番心配しているのはどうやら当事者の日本人だけらしい。と云う事で今回の反対論議をみると、世のなかには日本の国益より中国や韓国の視点にたって反対する人がいる事に驚くのである。ただそれも、民主国家の良さと言えばそう言えるのかもしれない。
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