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2015年8月26日 (水)

巨龍の苦闘

かねてから懸念されていた中国の経済が大変な事になっているようだ。自由な取引の場である株式市場に当局が介入したり、為替の連続切り下げをしたりとなりふり構わぬ政策は経済の実態が予想以上に悪い事を予感させたが、そもそも発表される各種の経済統計が基本的に水増しだから、その真相が誰にもわからず疑心は深まるばかり。本屋の店頭を眺めても長谷川慶太郎のように中国が崩壊前夜であるというものから、危機ではあるが崩壊する可能性は低い(津上俊哉著「強龍の苦闘」角川新書)とするものまで各種入り乱れ、中国の危機が世界経済に影響をおよぼすと説く隣には、我が国は大した被害を蒙らないなどという本もあって読む側の想像力がかきたてられる。


私の周りでも豪州や欧米の資源・鉱山会社が中国の輸入減でピンチに陥る一方、中国国内で過剰生産された鋼材が世界に輸出されて市場をかく乱し、原油の値下がりで船舶用重油(バンカー油)が10年前の値段に下がるなど様々な影響が出ている。最近、実務では中国国営会社が信用力の低い民間会社の輸入信用状を肩代わりして開設したところ、民間会社の倒産で代金決済が不能になり、国営会社が貨物を差し押さえるという事件があった。国営会社が小遣い稼ぎでサイドビジネスを行うのもおよそ欧米先進国では見られない事で、とかく中国絡みの商売はトラブルが多くてうんざりするのである。もっとも中国経済の減速もあって、ガソリンの値段もずいぶん安くなっているからあながち悪い事ばかりではない。


「巨龍の苦闘」によると、中国指導部はマルクス・レーニン主義者でナショナリスト志向の左派と、市場経済重視・改革志向・西側に親和性が強い右派が絶えずその均衡を争っているのだと云う。左派と右派の間で振り子の様に政策がゆれるのが中国共産党の特徴で、ピンチの時には右派が重視される一方、右旋回する際には「愛国主義教育」強化など左派への補償的政策が実行されるらしい。リーマンショック後の景気対策でより一層嵩上げされた過剰投資・過剰負債の経済は限界を迎え、成長率が落ちて経済改革が必要な今こそ思想・言論の規制が強まるようである。


ただ民主主義と自由主義経済は本来は不可分なはずで、一党独裁体制の上に経済は右で政治は左などと云う舵取りがいつまでも続くものなのだろうか。株式市場への政府介入を見ていると、「健全」な資本主義の育成は今の中国には期待できそうもない。一方で習政権は内政を改革するために、外交上の問題はなるべく取り除きたいと考えているらしいが、もしそうなら中国は永久に内政が混沌としていた方が周辺諸国にとって幸せという事になるのだろうか。いずれにしても日本の対中輸出は我がGDP比ごく少ないから、中国の経済混乱は対岸の火事だと傍から見ていれば良いようだ。私にはそんな事より西日本にもごく近い中国の沿海部に多数建設された原発が、何かで事故を起こさないのか、そちらの方がよほど心配に思えてくる。

20150826

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