丸の内福津留 「若鶏の南蛮焼」
丸の内三丁目・国際ビル(帝劇ビル棟続き)地下にある「福津留」の南蛮焼きである。アルミホイルに包まれた鶏スープは玉葱の千切りと沢山の唐辛子で味付けされており、知る人ぞ知る、近隣サラリーマンの人気料理となっている。私も胃袋から脳にシャキっと刺激がのぼるようなその独特の味にすっかりやみつきになって、若い時分から休み明けのボーっとした月曜日や二日酔いの日はよく昼にナンバンを食べに来たものだ。という事で、久しぶりに昼どきの丸の内に用事があったので、懐かしの味を堪能したくぶらっと福津留に立ち寄る事にした。
さすがに経営者は何代か代わったようだが、その昔40年ほど前にきれいな中年の女将が切り盛りしていた頃とお店の風情はほとんど変わっていない。アルミホイルの中で熱々になったスープは、唐辛子で引き立てられた濃いめの鶏スープで、具の玉葱の千切りや鶏肉がスープに良く馴染んで、食べるとけっこう食感がある。お店に入ってスープが温まるのを持つうち他の客はとみると、まずほとんどが何も考えず「ナンバン!」で、なかには私の様にわざわざ出向いたような一人客もちらほら。もはやナンバンは丸の内の「伝統料理」と読んでも差し支えないだろう。
時代の趨勢だろうか、スープの味は昔よりややマイルドになった感じがするし、小鉢サラダやさつま揚げがついた一方で、茶碗のごはんは小盛りである。お代わり自由だが、ここは昔の様に豪快にどんぶりメシで食べたいところである。そういえば最近は総じてどの飲食店もまたコンビ二の弁当もご飯の盛りが少なく、還暦を越えた私のようなシニアでも「もっとメシが食べたい」と思うから、若い人はお代わりに大変だろう。それはさておき白いご飯によくなじむ熱いスープをフーフー言いながら口に運ぶと、唐辛子の効果でたちまち顔や首から汗が噴出してくるのがなんとも爽快である。「やっぱりナンバンは独特でうまいや」と一人ごちながら、丸の内のビルが次々と建て替えられる中、国際ビルと「福津留」のナンバンはいつまでも続いて欲しいと思った。
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