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2015年7月15日 (水)

がんばれ安倍首相、「従属国家論」を読んで。

20150715


以前にもブログに書いたが子供の頃、家の近所にGHQに勤める日系人の軍属が住んでおり、その家のシボレーで今は代々木公園となったワシントンハイツに何度か連れて行ってもらった。広大な敷地に外国映画の様な住宅が点在するハイツ内の商店(購買部)で買い物をしたが、フェンス外の泥んこだらけの東京とはまるで別の世界で、こんな場所が日本にもあるのかとびっくりしたものだ。そうかと思えば当時は駅や街頭に傷痍軍人がいて、彼らがハーモニカなど鳴らしながら町行く人に金銭を乞うているのは、子供心に何とも不思議な光景であった。考えてみれば私が小さかった頃は、大東亜戦争が終わってまだ間もない時代であり、戦後も70年経過した今回の安全保障法案のごたごたを見るにつけ、我々の「戦後」とは一体何であったのか、はたまた日本の平和は何に担保されているのかと云う事にあらためて関心が高まるのである。


新聞やテレビを見ていると今回の安全保障法案の議論の中で、我が国の「憲法」がやたらと強調されているのだが、そもそもアメリカ人がいっときの都合で、アメリカのために作った憲法に依拠して我々はこれからも生きていけるのだろうか。なかんずくその前文で述べられている「平和を愛する諸国民の信義と公正に信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意した」という『理想』と、目の前のまったくそれに反する世界の『現実』を我々はどう解釈したらよいのだろうか。サヨクやリベラルと云われる人達ほど、我が国は国防にエネルギーをさくよりも、アメリカによってつくられた戦後体制や憲法に乗っていれば良いと思考停止しており、彼らのその矛盾するロジックをどう読み解いたらよいのだろうか。


『理想』を後生大事に守った挙句、覇権主義で膨張を続ける中国の共栄圏に入るくらいなら、少なくともアメリカの属国でいる方がまだましだとも思っている私ではあるが、今回読んだ京都大学名誉教授の佐伯啓思氏の新刊「従属国家論」(日米戦後史の欺瞞)PHP文庫はなかなか面白かった。経済や文明論を研究する佐伯氏は保守派の論客ながら、アメリカには批判的で、「 歴史を普遍的な自由・平等などの理念にいたる理性の展開と見るアメリカの歴史観 」とそれに追随する日本 がこの本で批判される。少なくとも米国の価値感は我が国の伝統と相容れぬものである事を佐伯氏は説き、それに染まってしまった今の日本に警鐘を鳴らしているのである。我が国の戦後の理念や戦後レジームと呼ばれる現象は、ポツダム宣言やサンフランシスコ講和条約、それに現憲法によって日本が米国に飼いならされた結果であり、米国の従属国家に我々がこのまま甘んじていて良いのかを著者は訴えている。


本書で佐伯氏は氏が考えるところの日本の現状に対して、明確な処方箋を提示していないが、一読してみるとわが国の戦後レジームの根っこには、アメリカの歴史観に従属する流れが強くある事は良く理解できる。その意味で、私はいま安倍首相が示している戦後レジームから脱却する姿勢に期待したいし、この度の安全保障法案の成立もその過程におけるまずは第一歩、とりかかりとしてこれに賛成の拍手を送りたい。中国の軍事的胎頭が避けられぬ今日、現実問題として日本はアメリカ側陣営により密接に関わりながらも、新法案によって「独立」した国家、「普通」の国に少しでも近づく事を望むものだ。安倍政権となって経済もまず好調に推移しているから、ここは安全保障の分野でも新しい時代を拓くべく、もう一汗を首相にはかいてもらいたい。「がんばれ安倍首相」

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