週末の箱根
箱根の火山活動が活発化したという事で、最近この地を訪れる観光客がめっきり減ったと報道されている。ただ実際に活動が大きく変化しているのは大涌谷近辺の限られた範囲で、他の地区は当面さして問題ないとされているのに、風評被害のため全山で売り上げが落ちているそうだ。という事で箱根のいろいろなサイトをネットで覗いていると、週末や休日にはいつも満杯の我が区の保養所も、人気の土曜日でさえしばしば予約が「空きあり」と表示されている。こうなると我々夫婦の反骨心が頭をもたげ、それなら応援の意味もこめて箱根に行こうと先週末は強羅にある区の保養所に泊まってきた。
強羅と言っても保養所のある辺りは登山電車の駅よりちょっと上がった所で、問題の大涌谷には直線距離で僅か1.5キロとほど近い。が、周囲はまったく平穏で火山活動のかけらも感じないし、近所の住人たちもごくあたり前の生活を営んでいるようだ。と、宿のそばに珍しく大きなヤギのツガイらしものがいるので近づくと、この動物こちらの気配に気づき振り返った姿がビックリ、なんと大きなイノシシのカップルである。箱根ではイノシシ被害も時々あるそうで、「こりゃマズイ」と目を合わせない様にして足早に通り過ぎるなど火山どころではない強羅であった。そういえば4年前の3月12日、東日本大震災の翌日、箱根に来た時は全山で数分置きに山鳴りがして、遠い地震がここにも大きく影響を及ぼしているという事を実感したが、その時とは違って今回は平穏そのものだ。
さて、何か事件が起きるとそこに派生するごく僅かな可能性や関連性をひどく気にして、訪問を自粛したり物品の購入をとりやめたりする人が世の中にはいる。しかし専門家や学者によって、何らかの危険が切迫していない事が判ったら、我が家はいつも通りの消費生活をし観光を楽しむ事としている。むしろ需要が少なくなったこの時こそ、地元品の値下げや観光地の閑散さをエンジョイできるとも思うのである。震災後は原発の風評被害に遭っている福島県産のミルキークイーン米を永い間購入して味わっているし、今はこうしてゆったりと空いている箱根に来るのもそんな気持ちである。ほんの僅かでも、これが地元の経済に資すればまた嬉しいものだ。増して箱根は、かつてお正月の駅伝選手として母校の襷を繋げて走った思い出の地である。このまま火山活動が収まって、来年の箱根駅伝がつつがなく執り行われる事を望みつつ山を去った。
« パラパラチャーハン(二人前) | トップページ | 退職後のさ・し・す・せ・そ »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 立山黒部アルペンルート(2)と上高地(2023.06.04)
- 立山黒部アルペンルート(1)(2023.06.01)
- 黒部峡谷鉄道 トロッコ電車(2023.05.29)
- 東北鉄道旅 (補遺編)(2023.04.12)
- 氷見ブリと「べるもんた」(2)(2023.02.20)
コメント