2011飛鳥Ⅱ世界一周クルーズ乗船記
妻が作っていた『飛鳥Ⅱ』2011世界一周クルーズの乗船記がようやく完成した。103日の航海を終えた2011年夏から構想を練り、同年冬に最初のパート(準備編)をアップしてから、3年半かかっての完成である。途中、寄港地編をまず完成させたのが昨年夏、以後、終日航海日編を鋭意アップしつつ、やっと出発地の日本に戻ってきたわけで、文筆家なら『遅筆』と罵られるところであろう。この後まとめ編を書くと言ってはいるが、とりあえず一区切りである。
理科系の妻はとにかく自分で納得するまで調べてからでないとアップしない。GPS衛星の電波を受け自分が移動した経路を記録するデジタル・ロガーを船内に持ち込む事から始まり、訪れた場所から船内の三度のご飯まで「お上りさんみたいで恥ずかしいから、あんまりこんな場所でパチパチとシャッターを押すなよ」と云いいたくなる様な場面でも記録をとっていたものである。その膨大なデータを元に、今度はネットや書籍で事実関係に照らし合わせながら、時には先人の飛鳥ワールドの記録を参考にしたりしつつ作成した大航海記であった。
とかく女性は欲張りと云うが、それにしても訪れた各国の名所旧跡の由来や料理・飲み物の説明はもとより、船舶の信号旗から世界の海で行き交う貨物船の船主や特徴まで調べる徹底ぶりで、それは何でも経験した事は細大漏らさず残しておきたいコレクター癖の発露だろうか。仕事柄「間違えたらまた後で直せば良い、ものごとは拙速を持って了とする」などと考えていた文科系の私とはちょっと異なる時間軸の長さと欲の深さである。
先日このクルーズで知り合った友人たちから、「100日余のクルーズの日々の出来事、何を食べてどういうイベントがあったか、忘れた事を思い出せるので見るのが楽しみ」と誉められて感激していた妻であった。確かに朝から夜まで日々紡いできた『日常』の船内生活をこれだけ網羅すれば、同じ航海をした乗船者には良き思い出となり、またこれから世界一周を考える人には新たな視点での情報になるかもしれない。船会社や旅行会社が提供する『クルーズの楽しみ』とは別に、船内の何と言うことのない『日常』に関する情報はあまりない様だから、妻の乗船記がどこかでいささかでも役に立つのなら嬉しいものである。
« 日本に絶望している人のための政治入門 | トップページ | 上野英三郎博士とハチ公像 »
「船・船旅」カテゴリの記事
- にっぽん丸で航く モーリシャスプレシャスクルーズ(2022年12月出港)(2022.05.16)
- ”東京みなと丸”による「東京港を観て学ぶ」ツアー(2022.05.06)
- 続々・KAZU1の遭難事故 保安庁の検査と小型船舶安全規則(2022.05.01)
- 続・KAZU 1の遭難事故(2022.04.26)
- KAZU 1の遭難事故(2022.04.24)
久しぶりに書き込みさせていただきます。
世界一周クルーズの乗船記、ずっと読ませていただいておりました。ありがとうございました。また、お疲れさまでございました。
2011年は、震災後にあちこちの重工業や発電の現場に海外からのエンジニアが来ていて、翌年夏までほとんど家におらず、出先のホテルなどで読ませていただいていたのを思い出しました。
私が世界クルーズに出られることはありませんが、船内の様子や寄港地、七つの海の色を見せていただき、感動いたしました。
少し余裕ができたら、3、4日でも良いので海港から外国に入ってみたいと思っております。
投稿: まろんの父 | 2015年5月 3日 (日) 14時01分
まろんの父さま
コメントありがとうございます。震災後の自粛ムードの中、少々複雑な気持ちで船出してから4年経ち、やっと妻の航海記がほぼ完成しました。読んでいただいた事を妻になり代わり御礼申し上げます。
海外、国内を問わず海の港から町に入ると、空港や駅からのアプローチとはまったく違った視点で、その街の発展や歴史を見る事ができる様です。クルーズの楽しみ方は、いろいろあるものだと思っております。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2015年5月 3日 (日) 22時31分
ご無沙汰してます。
久しぶりに覗いて見ると
奥さんのブログが完成したとのこと。
もうどれぐらい前になるか忘れてしまったが、航海日記が途中で切れて
いてがっかりした記憶があります。
今日から何日間かにかけてじっくりと
読まさせてもらいます。
楽しみです。
投稿: 親スズメ | 2015年5月 8日 (金) 10時56分
親スズメさま、
おしさしぶりです。
コメントありがとうございます。残りの航海日記も読んでいただくとの事、妻も傍らで喜んでおります。コメントありましたら、そちらも宜しくお願いいたします。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2015年5月 8日 (金) 21時34分
初めて書き込ませていただきます。
去年の春頃だったかちょうど飛鳥の航海記を検索して
たどり着いてから全部読んでいつか自分も乗りたいと思っていました。
クリスマスの1泊だけ娘と一緒に乗ることができたのですが
いつか長期の旅をしたいと思っています。
こちらのブログもですが、奥様のブログもとても楽しみしていましたので
完成をしたということでまた読み返しに行こうと思います。
投稿: みんちゃん | 2015年5月17日 (日) 16時41分
みんちゃんさま
コメントありがとうございます。乗船記を読んでいただけて妻も喜んでおります。
あれから4年になりますが、楽しかった思い出が色あせる事はありません。
またコメントがあればお寄せ下さいますようお願いいたします。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2015年5月17日 (日) 22時24分
はじめまして、最近奥様のブログファンになったゆめ丸です
どこに書いていいのやらわからずご主人様のブログに来ました
失礼をお許しください
いつか豪華客船で世界一周をと考えており、乗船記をあちこちサーフィンしてたところお二人のブログにたどり着きました
私は女性なので船内の事細かな情報が知りたく、奥様の見事なブログはまるで手に取るようによくわかりました
知りたいことが次々解決し、その辺のガイドブック顔負けですね
参考になりました、ありがとう
お二人の船上生活も微笑ましく書かれていて笑顔で読み進めました
とっても楽しくて、私まで旅した気分になりました
理系ですか、あっぱれです
今年の南極クルーズはいらっしゃいますか?
もしおいでになるのでしたら
またブログでご報告ください
楽しみに待っています
PS,ついでに男女脳検査もしました
150点でした(笑)
投稿: ゆめ丸 | 2015年6月15日 (月) 17時03分
ゆめ丸さま。コメントありがとうございます。
妻は船が好きなので、乗船記には寄港地観光や船内の催し物だけでなく、日常の船内生活や航海中の様々な事をまとめたかったようです。これらが何かゆめ丸さまのお役に立てば幸いです。
完全文系の私には、理系の妻の理づめな考え方に大いに助けられたり、時としてうっとうしさを感じたりで、二人で珍道中を繰り広げております。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2015年6月16日 (火) 07時29分
ゆめ丸さま
暖かいコメントをありがとうございます。そして片隅に埋もれた男脳・女脳・テストまでしていただいて(笑)。
数年前にやってみた時は100点を超えて喜んだのですが、今回は70点でした。乗船記を書くのに知恵を絞っているので、少々論理的度が増しているのかもしれません。
夫には相変わらず鬱陶しい!と言われそうですが。
飛鳥Ⅱの乗船記はあともう少し続きますので、もうしばらくよろしくお願いいたします。
投稿: ハンディバルク(妻) | 2015年6月16日 (火) 11時57分