健康本を前にして
ガンは「早期発見がベスト」と云われていたかと思ったら、最近は近藤誠氏の「ガンは何もしないのがベスト」と説く説が大ハヤリの様だ。かと思うと「人は年齢に従って血圧が上がるものだから、高血圧は150までは何もしなくて良い」という新書が本屋の書棚を飾る一方、「家庭で計った血圧は135以上になったら薬を飲むべし」と血圧を気にする私を「おいおい、どっちなんだい?」と惑わす様な本も多い。その他本屋に行けば「これを注意すれば医者いらず」だの「これさえやれば病気にならない」など一点集中、まあ眉唾ものの医学もどきの本が山ほど積まれていて、気の弱い私などはこれらの高説・珍説に大いに惑わされてしまうのである。
こんな諸説紛々の中で本当に「健康に良い事」はどうやらタバコは吸わない、酒はほどほどに、太らない程度に栄養は充分に摂り、有酸素運動を継続してと云うあたりが最大公約数になるようである。ただ我が身を顧みるとタバコは吸わない一方で酒は”ほどほど”よりホンのちょっと多いし、食い意地がはっているのか同年代より食べる量もたしかに多い様だ。さて肝心の有酸素運動となると多くの解説書が歩く事を薦める一方で、ジョギングなど強い運動は効果がないばかりか有害であるとさえ謳っている。たしかに日頃から運動習慣がない人がいきなり走リ出せば弊害も出てくるかと思うが、あまりどの本にも走る事は良くないと書かれると永年のランナーとしてあまり気分の良いものではない。
今日も閑にまかせてブラブラと本屋でこれらの健康本を立ち読みをしていたら、走る事が良くない理由が多々ある一つに「人間の心拍数は生涯で決まっているから走って脈拍を上げるのは寿命を早く尽くす事になる」という珍妙な解説があって思わず目が点になってしまった。そこで念のため永く走っている私は人よりどのくらい脈を多く打ってきたのか、人間(哺乳類)の心拍数は一生涯で20数億回ほどとあるから我が影響度を計算してみた。それによると普段は1分間で60くらいの私の脈は走っている間は120くらいになり、毎日1時間ほど走って50年たったから、この間の余分な心拍は最大で(120-60)/分X60(分)X365(日)X50(年)=6千570万回となった。
私の様にこれだけ走っていても、6千5百万÷20億=0.03すなわち一生の心拍数にして3%ほどの影響なら、健康に対しては遺伝要因のほか栄養や環境、ストレスや食習慣など他の事がもっと大きな要素になる事は違いない。また走らない事による心肺機能や筋力のマイナスを差し引けば、少なくとも心拍数の面からは「ジョギングが体に良くない」とは到底云えないだろう。という事でこの本の述べる事は無視する事にしたのだが、健康に関心があれども確かめる術が乏しいのが我ら普通人である。牽強付会の極端な説や特定の食品・サプリなどより、まあ大体の医者の言う事と、何より自分が健康で気持ち良いと感じる事が大切かと本屋の健康本を前に佇むのである。
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