キューバ経済制裁解禁とカリブ海クルーズ
オバマ大統領は1961年以来国交が断絶しているキューバと、53年ぶりに関係改善に動き出すと表明したそうだ。首都ハバナに米国の大使館を置き経済制裁も緩和するなど、対キューバ政策を歴史的に転換させると報じられている。合衆国のマイアミからフロリダ海峡をはさんでわずか300キロあまりのところ、アメリカがカリブ海へ進出するとば口をまるで盾の如く塞いで横たわるのがキューバである。その地政学的立地ゆえにかつてキューバは東西冷戦の最前線となり、いまだに米国と国交や経済交流が途絶えていたのである。それゆえにエキゾチックな古き建物が残り、近年は海外からの(ただしアメリカ以外)観光客も増加して、我が国でも雑誌やクレジットカードの情報誌などでキューバがよく紹介されている通りである。
アメリカは61年のキューバ危機以降、この国に対して長らくEMBARGO(商船の入出港禁止・通商禁止)を実施してきて、殊に1992年に施行されたトリセリ法で、キューバに入港した船舶は以後180日間は合衆国の諸港に入港できない事になっている。ゆえに米系はじめ多くのクルーズ船はこれまでキューバの港に寄港する事ができなかったのだが、今回の経済制裁解除によりカリブ海を周遊するクルーズ船が首都ハバナなどに寄港できる事になるだろう。最近キューバに2度も旅行に行った事があるという我が職場の若い女性によると、ハバナでもマックやスタバなどがなく昔のままの街並みが見られるし、大通りは本や雑誌で見るとおり60年代のアメ車だらけだから、旅行するならアメリカ資本が入る前、今のうち早めにするのがお勧めですよとの事である。
これまで仕事や飛鳥Ⅱのクルーズで、プエルトリコやコズメル(メキシコ)、キュラソー、アルバ、バハマなどの島々、ラガイラ(ベネズエラ)などカリブ各地を幾度か訪れた事がある。それぞれ旧宗主国から受け継いだ国情の違いはあれど、通りにはアメリカ巨大資本の看板、ホテルはヒルトンなどのお馴染みブランド、それに観光客を相手にするみやげ物屋だらけの町は、どこも似たような雰囲気であった。しかし今回の緩和措置で合衆国のフロリダ半島やヒューストン、ニューオリンズなどの諸都市から大型クルーズ船に乗って、一晩ほどの航海でまだ開発の手が入らないキューバを訪問できそうだ。そうなれば気軽に古き良き時代のカリブ文化に触れる事ができ、この地区はアメリカ人のみならず日本人にも魅力的なクルーズディスティネーションとなるに違いない。
2011年飛鳥Ⅱでナッソーを出港しコズメルに向かう終日航海日に左舷にうっすらと見えたキューバ
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