カーニバルと中国造船所のMOU
最近のブルームバーグ情報によると、米クルーズ業界トップのカーニバル社は中国の国有造船所グループとMOU(Memorandum of Understanding:合意覚書)を交わしたとされている。内容は両社がジョイント・ベンチャーを組み中国のクルーズ事業に参画し、さらにクルーズ船建造の老舗であるイタリアのフィンカンチェリがこれに加わる事を推進するとの事である。この計画が実現すればフィンカンチェリの持つ客船建造のノウハウが中国の国営造船所に供与され、いずれ中国製のクルーズ客船が多数建造される事になるのだろう。中国人向けに造られた多くの客船の就航によって、アメリカについで世界で第2位にならんとする中国のクルーズ産業発展に一層のはずみがつく事はまちがいない。
そのあかつきには中国の客船が寄港する日本の各港が、中国人観光客で一層賑わう事が予想されるが、翻って我が国市場は昨年からプリンセスクルーズが参入しただけで、日本船の3隻体制から一向に進展していないのがなんとも寂しい。一方でクルーズ仲間のうわさによると、プリンセスクルーズは日本人を対象に、近々世界一周クルーズも計画していると云うから、そうなるといよいよ邦船の市場も大きく侵食される事になろう。主にシニアーを対象に至れりつくせりのサービスを提供する日本船も、その高価格料金体制のガラパゴス的な業容でいつまで事業を継続できるのであろうか。
日本人は海に囲まれすぎている為に却って海をレジャーの対象としないとか、長い休暇がとりにくい、そのほか社交が好きではない、はたまた中国・韓国など周囲が反日であるなど、我が国のクルーズ業界には様々な制約がある事はよく理解できる。一方で発展を期さない事業は、どんなものでもいずれ衰退が待ち受けると云うのも世のならいである。我が国の乗客が中国のクルーズ船に中国人と一緒に乗るとは思えないから、日本船はここで別の欧米資本と組むなり、グアムやサイパン、あるいは香港などを母港として、欧米人の乗客との”混乗”を目指すなり地平を開く計画を企画して欲しいところだ。仮に日の丸の旗を揚げておらず便宜置籍船でも、実質的に日本の船ならば納得する日本人も多いと思うから、邦船クルーズ社は発想を柔軟にし色々なアイデアでわが国のクルーズを盛り上げて欲しいと願うのである。
今まで乗船したフィンカンチェリ造船所建造のクルーズ船たち
パシフィック・ドーン/フォーレンダム
ウェステルダム/ゴールデン・プリンセス
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Bulkcarrier様
プリンセスが日本人を対象に世界一周を計画しているとの事、大変興味があります。
日本船の余りに高価格設定についていけない私は、プリンセスのリポジショニングを組み合わせて世界一周を安く出来ないものかと考えていました。
ピースボートはもちろん、論外です。
ロス発着のプリンセスは世界一周113日間インサイドで1泊あたり\18,000程度なので、これなら何とかなりそうです。
でもカーニバルジャパンのことですから、日本船よりは少し安い程度に価格設定をするでしょうね?
投稿: 老兎 | 2014年10月25日 (土) 16時25分
老兎様
コメントありがとうございます。プリンセスの世界一周の話は、あくまで噂なのですが、もし実現となれば私も参加してみたいと思います。
日本船は素晴らしいのですが、やはり価格が最大ネック。それに船内の雰囲気、たとえば社交ダンスはここが競技会かと思うばかりの「あそびのなさ」など敬遠される要素も多々あります。
日本船と外国船の中間くらいの船があって良いと思っています。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2014年10月26日 (日) 20時33分