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2014年10月19日 (日)

原鉄道模型博物館

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2011年飛鳥Ⅱワールド・クルーズの船友10数人が集まって、年に2回ほど春と秋に親睦会を行っている。先日は横浜の会員のお世話で、みなとみらいにほど近い地区のモダンなカフェに集合したのだが、集まるまで少し時間があったので、マニアの間で話題になっている原鉄道模型博物館に立ち寄ってみた。博物館は新しいビルの2階にあって2012年に開館、横浜駅から南に徒歩5分ほどの場所である。世界的に名高い鉄道模型愛好家だった原信太郎氏のコレクションを中心に、1000両といわれる鉄道模型などが展示され、博物館の中央にある「世界最大級のジオラマ」ではヨーロッパの列車を中心に一番ゲージと言う大型の模型車両が走り廻っている。


原信太郎氏は1919年生まれでコクヨの元専務、今年2014年夏に95歳で亡くなったが幼少の頃から鉄道模型に親しみ、生涯をかけて精密な模型の作製やコレクションを楽しんだそうである。その略歴には東京の三田、慶応義塾の近所で生まれて幼稚舎に入学、小さい頃は祖母から当時の大学新卒の初任給に匹敵する額のおもちゃを「ツケ」で買うことが許されていたとあるから相当なおぼっちゃんである。一旦、慶応商工を卒業した後に、東京工大に進んだのも鉄道技術や模型の為だったのだろうか。いずれにしても世間一般からすればかなり金持ちの自由人であった様だが、それを活かしこうして世界的な博物館を開くまでに趣味を極めるのも生半可な事ではない。


このジオラマを走り回る模型車両の先頭にはカメラ専用の車両がつけられ、線路の傍らに設けられた運転席では、モニターを見ながら見学者が模型の運転を楽しめる様になっている。HOゲージなどより2まわりも大きい一番ゲージ車両から送られてくる映像は、まさに実際のヨーロッパの鉄道の旅を想起させてくれるリアルなもので運転操作も楽しそうだ。その他ジオラマには数々のこだわりがあって、無料で貸し出してくれるオペラグラスでその細部を観察していると、思わず時を忘れ子供の頃にかえった気分で楽しい。なにしろ電気機関車や電車は架線から集電してモーターを動かしているし、驚くべき事には車両は力行運転だけでなく惰行運転もできると云う。信号機は実際に閉塞区間を現示する他、列車がブレーキをかける場所では車輪の鉄粉が落ちてバラストが変色する有り様まで再現している懲りようである。


原氏の作成した模型を前に一番唸ったのは、旧型台車の板バネを一枚一枚木片を削っては作り上げ、揺れ枕やイコライザーまで本物の鉄道車両さながらに可動させる様にしたその精緻さである。脱線防止の為に台車までリアルに再現した模型を見たのは初めてで、そこに原氏の凄まじいばかりのこだわりと情熱を感じたのだった。こうなると電動車の駆動方式まで質問したくなったのだが、係員の女性は「すみません、私にはわからないので・・・」と頼りない返事である。では判る人を、と探したのだが、肝心の『学芸員』らしき人はジオラマの向こうらしく、場内に見当たらないのはとても残念だった。帰り道に寄ったビル一階のミュージアムショップ「天賞堂」の店員によると「大型の模型は実際にツリカケ式にしてますよ」との事だが、入場料を1000円も取るミュージアムならば専門家は常時配置して欲しかったと云うのが唯一の注文である。

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