大相撲九月場所
両国国技館の大相撲本場所に10年ぶりに行った。英国人を連れて行ったのだが、ビール片手に様々な伝統の決まり事を、準備もなしに英語で解説するのはなかなか骨の折れる事だ。呼び出しはPagerなどと煙に巻いていたが、一番困ったのが軍配だった。「レフェリーが持っているあの黒い道具を、胸の前で縦にすると制限時間が一杯なのだ」との身振り手振りの苦肉の解説に、「それはあのファンの事か?」とその英国人が問う。あれはうちわではないものの、たしかにファンの形をしているので「その通り!」とその場はおさめたものの、やはり気になって帰宅後に和英辞典を開くと、軍配は"Sumo referee's fan"とあって一安心したのであった。
すでに力士は国際化が進んでいる通りだが、昨日は外国人それも西欧人の観客が多いのに驚いた。お客全体の1割くらいは外国人かと思うほどのところ、それに反して彼らに対する英語の案内表示がほとんどない。観客が入り口でもらうぺらっとした大判紙の簡単な案内(星取表)には、力士の部屋名や出身地、身長・体重が列記してあって便利なのだが、この案内紙の外人向けバージョンもないようだ。相撲協会のホームページには英語版があってそこそこ解説が記されているようだが、入り口で外国人むけに観戦ガイドの冊子を配るとか、英語解説のイヤホンを貸し出すなどもっと積極的な外国人観客向けサービスをしてもいいと思う。そのほか伝統の興行といってもやはり娯楽なのだから、場内どこからでも見る事ができるスクリーンくらいは設置して、力士の出身地や勝敗その他ファンの喜ぶ情報くらいは流してほしいものだと思った。
また力士が大型化して栃若時代や柏鵬時代のおすもうさんのサイズに見慣れた目からすると、土俵ももう一回り大きくても良いのではないかという気持ちがした。小兵力士が土俵をいっぱい使って、動き回る相撲もちょっと見てみたいものだ。それにしても皆が働く平日の昼の日中に本場所の興行がうたれ、結びの一番が夕方6時きっかりに終わる大相撲というのも不思議なエンターテイメントである。今回は御茶屋を通さずチケットを購入したので、恒例のおみやげセットはなく、ビールや伝統の焼き鳥は自分で売店に行って購入したが、お茶屋にチップを遣る必要もなく、すっきりしていてこれはこれで良いものだと感じた。昨日も場内は満員御礼の垂れ幕でご同慶の至りだが、相撲も伝統を活かしつつ時代にあわせてファンサービスを改善し、ますますの発展を望みたいものだ。
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