臨時列車”あけぼの”の旅 (2) 弘前さくら祭り
弘前城とさくら
今回は寝台列車に乗るのが旅の目的だったが、連休中に青森までただ行って帰って来るだけではもったいない。という事で、我々はさくら祭りで賑わう弘前で”あけぼの”を下車し、一ヶ月前に東京で見た桜をもう一度楽しむ事にした。弘前は弘前藩の城下町で現在の人口は33万人、津軽地方の中心都市として栄え、明治維新後は短い間だが県庁所在地でもあったそうである。青森県と云えばかつて八戸市に仕事でしばしば訪れた事があるが、八戸(旧南部藩)と津軽は距離は近くても遠い間柄で、同じ青森県内でも今でも南部地区と津軽地区は言葉も違えば食べ物・文化も違うというのが面白い。
旧弘前城城内にあたる弘前公園に植えられた2600本の桜は、ソメイヨシノが中心で我々が訪れた5月1日には満開をわずかに過ぎた頃であった。すでに葉桜になった木もそこここに見られる一方、日当たりのあまり良くない場所では、ちょうど今を盛りと桜の花が咲き誇っている。風がざわめくと散りゆく桜が歌舞伎舞台の様に頭上に降り注ぎ、お堀に散った花びらは水面をピンク色に染め上げて、まるで一幅の絵画を見ているようである。ここは東京で云えば千鳥が淵や上野公園にあたる場所だが、さすがに歩く人もそれほど多くはなく、ゆったりと花を愛でられるのが気持ちよい。
私も最近は、昼の会食などで極力アルコールは飲まない様にしているものの、天気にも恵まれた上に見事な花を見ながら酒もなしに昼飯をとるのでは桜の神様に誠に申し訳ない。という事で屋台で焼き鳥やらホットドッグにビールなどを買って、しばし「みちのく」の遅い春を楽しんだのであった。帰路は妻の希望で公園近辺にあるカトリック弘前教会(1910年明治43年建築)や、プロテスタントの日本キリスト教団弘前教会(1875年明治8年創立)の立派な建物を見学し、あらためて明治維新の前後には文明開化の波が、江戸や京都からも遠い東北の町にも及んでいた事に驚いたのだった。
« 臨時列車“あけぼの”の旅(1) | トップページ | 臨時列車”あけぼの”の旅 (3) 青函連絡船 八甲田丸 »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 路面電車と新宿風景(2022.04.04)
- 新橋第一ホテル ANNEX最終日(2022.02.16)
- 観光拠点再生計画 宇野港発 瀬戸内海遊覧クルーズ船 実証運航(2021.11.16)
- カーナビとドライバーの感覚差(2021.11.09)
- 高峰高原・黒斑山(2021.10.04)
コメント