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2014年5月24日 (土)

福山市

20140521

久しぶりに瀬戸内の福山市に出張した。初めてこの町へ来たのは80年代初頭、日本鋼管(現在JFE)福山製鉄所からアメリカ向けに輸出する鋼材の船積み立会いに来たのだった。それから四半世紀、近隣の常石にある造船所にもよく来たし、松永地区の製材工場にも幾度か商談で訪れた馴染みの町だ。歴史的には福山市の南部、鞆の浦はちょうど瀬戸内海の中央部にあたり、大阪方面からの潮流と九州方面からの潮流がぶつかるので、古代沿岸航法の時代から潮待ちの港として賑わった場所だ。昔から物流や生産の拠点であった事から海運業が盛んになり、瀬戸内のこのあたりには船主業を業とする”イッパイ(一杯)船主さん”が多数いるのである。


一杯船主とは文字通り船を一隻(一パイ)だけ所有し、船員を乗せメンテナンス管理を行い、大手の海運会社に貸し出す(チャーターアウト)事を家業とする業態だが、どうしてどうして、今や何十隻もの大型外航貨物船を所有し、日本の海運会社だけでなく海外の海運会社に船舶を貸し出す大手の船主が瀬戸内沿岸に多数存在する。世界の海運界を見わたしても、所有・船員配乗・保守・管理する船主業と、運航(営業)する海運会社の関係がこれほど安定的に続く業態は、日本の他にはギリシャや台湾船主の一部で見られるくらいであろうか。これも瀬戸内の地元に造船所、シップファイナンスの金融機関、船舶用機器のメーカーやサービス網、船員教育を施す学校、検査機関や保険など一連の海事クラスターが揃っているからで、これを見るだけで日本の産業基盤は韓国などとは比べ物にならない広がりと奥行きを持っている事がわかる。


さて今回もそんな有力な瀬戸内の船主との会合に福山を訪れたのだが、仕事の話しは10分足らずで終わってしまう。後は「昔はどうだった、あの人は今何をしている?、あの時はお互い苦労したなあ」などと云う話ばかりで2時間、出張に同道した若い担当者があっけにとられているのを横目に雑談だけで大いに盛り上がったのであった。長い間、不況業種といわれ過去に幾度となくもう海運業から足を洗おうかと思ったものだが、こうして過去の遺産によって、思い出話だけで給料を貰えるとは幸せなものだと感謝するのであった。東京への帰り道に新幹線の指定席を取ろうとすると一時間待ちとの事で、その間に駅のすぐ横にある福山城を初めて見学する事ができた。戦災で焼け落ちて1966年再建された天守閣から人口50万のたおやかに広がる福山市を眺めていると、またこの辺りに妻とゆっくりと来たいと思ったのだった。

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コメント

Bulkcarrier様 久しぶりに新千歳空港で書き込みをさせていただきます。これから向かう先が、まさに福山で、記事にも書かれておられる製鉄所でございます。スウェーデンから来るエンジニア2名と3週間ほと滞在いたします。3年前にさーっと倉敷から宮島までを観光いたしましたが、今回は土日が休工なので、エンジニアを出雲あたりまで案内しようかと考えております。
瀬戸内の海運業については、なるほどという思いで拝読いたしました。

まろんの父様

期せずして同じ福山にご出張との事。お便りありがとうございました。3週間もご滞在、休日には瀬戸内や山陰の初夏を堪能されますよう。

広島や愛媛の船主は、成功して何十億、何百億の資産ができても、オナシスに代表されるギリシャ船主の様にロンドンやニューヨークにデビューしたりしません。じっと地元で家業に尽くすあたりが、彼らの強さだと実感しております。北欧にも多くの船主がおられますが、スエーデンの方々にも日本の強さを見ていただきたいです。

お体気をつけて。

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