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2014年4月18日 (金)

韓国のフェリー事故に思う

今回の韓国のフェリー事故の映像を見て思い出した事がある。5年以上前のことだが、日本で永年活躍していたフェリーが韓国に売船された後、大きく改造されて日本との定期就航に就く際にその船内を見学する機会があった。韓国人が好きそうな白と濃い茶色の化粧版を使って上級キャビンはすっかり化粧なおしがなされている一方、車両甲板の一画にカウンター付きの急造ナイト・クラブが造られて、関係者一同、我が国ではとても許されない改造だと驚いたものである。ガソリンや軽油を積んだクルマがとめ置かれる車両甲板は、日本では航海中は乗客の立ち入り禁止であるが、その場所にタバコも吸える様な遊興空間を作ってしまい、これでよく韓国の船舶検査機関の許可が下りるものだと思ったのだった。


今回の事故について、これまでに発表された事を踏まえた私の独自の推論は以下の通りとなる。事故当時、操船はまだ新米の3等航海士によってなされ、船長は指揮を執っていなかったと報道されている。前夜霧の為に発航地の仁川を2時間遅れで出航した本船は、基準航路より近回りの航路を選択し先を急いでいたのではないだろうか。多くの島沿いの慣れぬルートを辿っていた朝8時頃、当直の3航士は船長が選んだ近回り航路よりさらに本船が逸脱している事に気付き、船長の朝の登橋前にあわてて位置を修正しようと急激かつ大きな回頭を行ったのではないか。漁船や他の船舶を避ける行動にしては、速度も落とさずに奇異な回頭をしたのは、ブリッジがあわてて操船している事を示しているのではないだろうか。


一般的に客船は貨物船などより動揺がゆったりする様に、重心がトップ・ヘビーになっている(もしボットム・ヘビーであると、起き上がりこぼしの様に船が早く元に戻ろうとして乗り心地が悪くなる。)この船がまだ日本船(マルエーフェリーのフェリーなみのうえ)だった頃の元船長は「舵の良く効く船だった」とコメントしているから、この大回頭もシャープに行われたに違いない。ただ普通のフェリーはトップ・ヘビーでもその程度の事で、復元性に影響するほど船体傾斜はしないものだ。これに日本から売られた後に造られた上部キャビンの影響、船体下部バラスト水タンクの張水の不備、車両甲板の積載車両やオンデッキのコンテナの固縛強度不足による急な移動などが重なって、船体傾斜が復元可能な範囲を超えてしまったのではなかろうか。


船体に海水が浸水し傾斜した後に乗客にキャビンに留まれとアナウンスした誘導も良くなかったと思う。クルーズ船に乗ると最初に行う避難訓練では、非常時には乗客は救命胴衣をつけて速やかにデッキの指定された救命ボートに集合するようにと云われる。また子供などが別の場所にいても彼らはクルーが誘導するので、船内に探しに行かずにデッキで待つよう指示されるのである。船体は大傾斜してしまうと、避難場所への集合やボートでの脱出も容易ではなくなる。本船の場合は修学旅行中の大勢のティーンエージャーによる混乱をおそれて船内で待てとアナウンスしたのかも知れぬが、この避難誘導が正しかったのか今後大きな問題となるだろう。私は船舶や航海の専門家ではないが、海に関係ある仕事に永年携わり客船にもしばしば乗船する身として、船内に残された者の全力の捜索と事故原因の究明に関係者は尽力して欲しいと願っている。

就航セレモニーが行われた車両甲板。この背面にカウンターバーが出来ていた
20140418

改装されたレストラン
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船・船旅」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
フォーレンダムの記事楽しく読ませて頂きました。GWにサンプリンセスで石垣島を訪れてる予定です。竹富島にも行きますが、水牛は避けてサイクリングする事にします。

本記事もそうですが、永遠のゼロも同じく、バルクキャリアーさんの文章に胸が締め付けられます。
あまりに冷静で客観的、論理的で亡くなった方の最後が目に浮かぶのです。出産したせいでしょうか。事故犠牲者や、人間魚雷になった青年の母になってしまいます。
Paper読む感覚というか・・・。誤解のない簡潔で明瞭な文章が 、想像を掻き立ててしまいます。
次の記事も楽しみにしています!

バシルママさん

過分なお言葉ありがとうございます。ゴールデンウイークの旅の一助になれば嬉しいです。石垣島はサイクリングで廻る方も多数いました。きっと楽しい旅になる事でしょう。

サンプリンセスのご感想やその他コメントありましたらお待ちしております。

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