半世紀ぶりのピアノ練習
「そろそろ会社を辞めさせてくれないか」と打診してみたら「まあ、そんな事言わないでもう少しやって下さいよ」とありがたい様なそうでない様な返事が返ってきた。やっている仕事の本質は若い頃とちっとも変わらないが、事務のIT化では狼狽することが多いし、周囲は新入社員の頃からコンプライアンスやらガバナンスという言葉に慣れ親しんで育った世代ばかりで、この業界の雰囲気も変化してしまい多少疲れを覚えるのである。もっとも還暦をとうに過ぎたこの歳でそう言ってもらえるのは幸せな事だと気を取り直し、4月からももうしばらく勤めを続けることにした。しかしそのためには今までにない何らかのインセンティブが自分に欲しくなったのも事実である。
という事で、購入したのがヤマハの電子ピアノである。考えてみれば小学校1年から6年まで親に無理やりピアノの前に座らせられてすっかりピアノ嫌いになり、反動で中学からこの歳まで体育会系で過ごしてきたものの、各地のマラソン大会でも60歳以上の部はすべて一くくりとあって、後は年齢相応に記録も順位も落ちるだけとは寂しいものである。ここは体を使った運動の他に何か文科系の趣味を持ちたいものだと考え、ならば子供の頃やったピアノかと思いたったのである。先の三連休に届いた梱包を解いて組み立てたのが写真のヤマハ電子ピアノである。こんなキーボードで本格的なピアノの音はもとより、スイッチ切り替えによってハープシコードからジャズオルガン、パイプオルガンなど様々な弦楽器の音が出てくるとは何とも驚きだ。
これで本物のピアノでも最も安い部類の何分の一かの値段、その上メトロノームも内臓されているし、高価な調律も必要ないとは世の中便利になったものである。「バイエルからやりたい」と言う私に、妻は「最近はバイエルなどやらないのよ」と買ってくれたのがブルグミューラーで、その第1番は「素直なこころ」という題名である。性、狷介にして何事にも頑固になりつつある私には、最初から何やら因縁めいた題名である。幼児が弾ける様な易しい楽譜だったが、何回かつっかえながらも初回で一曲が弾ける様になるのは、子供の頃の体験が記憶のどこかに残っているのだろうか。以前にもちょっと思い立ったものの、マジメに取り組むのは50年ぶりで、ボケ防止にこれから少しずつ練習する事にしたいが、「若くてきれいなピアノの先生が近所にいないかなあ」とか「モーツアルトのトルコ行進曲が弾ける様になるのとボケるのがどちらが先だろうか」などと様々な思いが脳裏を駆け巡っている。
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