江戸橋倉庫ビル
日本橋から東に向かってぶらぶら歩いて昭和通りへ出ると、通りの向こう側の日本橋川沿いにレトロで由緒正しそうなビルディングが目に入る。かつてここでハシケから建物へ荷物が直接揚げ降ろしされていたのだろうか、以前は川面へ向かってビルの側面からクレーンを吊るす幾筋かのレールが突き出ていて、建築マニアでなくともちょっと興味を引かれるビルであった。この建物は1930年に完成した三菱倉庫の江戸橋倉庫ビルで、日本で初めてトランクルームが併設され、最近は東京都選定歴史記念物にも指定されている由緒正しき建築物だそうだ。
このあたりは日本橋川に沿い江戸時代には左岸(北側)に河岸が開け、時代が下って明治になると右岸(南側=江戸橋倉庫ビル近辺))に三菱の倉庫が並んだ日本の物流の中心地であった。一帯は関東大震災(1923年)で被災し、その後造られた幅の広い昭和通りが地域を分断してしまった上、東京オリンピックに際して急遽造られた首都高速道路が不細工に街中に立ちはだかってしまい、昔の風情がほとんど残っていない様だ。最近は日本橋再生計画が進んで街が整美されているのが喜ばしいものの、幾つかある有名海苔屋やこの江戸橋倉庫ビルがかつての興隆を偲ばせる数少ない存在で、すっかり町が変わってしまったのがさびしいものだ。
その江戸橋倉庫ビルも再開発計画の只中で、旧建物の外観を保存したうえで、地上18階地下1階建てのオフィスビルに間もなく建て替わると云う。かつてビルの屋上にあった船のブリッジを模した様な屋上塔は今はどこかに保管されている様だが、今夏ビルが完成した時点で再びそのユニークな姿が見られる事になることだろう。丸の内の整然とした街を散歩するのも気持ち良いが、まだ下町然とした日本橋から三菱倉庫ビルを右手に見つつ、人形町や水天宮、さらには甘酒横丁から明治座あたりへと、いにしえの繁華街をそぞろ歩くのもなかなか風情があって良いものである。
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