にっぽん丸 OASIS ( 横浜沖レストラン船)
大荒れ天気のこの週末、金曜日夕方から”にっぽん丸”のOASIS2泊3日クルーズに乗船した。2年半ぶりの”にっぽん丸”だが、金曜日は朝から雪のため、普段クルマで行く大桟橋に電車で向かう事にする。タクシー・電車を乗り継いでやっと乗船したと思ったら、船の外は吹雪で視界がきかず、全長160米以上の船舶は浦賀水道の航路規制で東京湾を出る事ができないと番留船長の放送である。と云う事で全長167米の本船はやむなく横浜沖に錨を降ろして金曜の夜は錨泊となった。夜になっても吹雪は止む気配がない上、東京湾外は低気圧による大時化とあって、土曜日に航海を続ければこのクルーズの目玉であるゲストシェフのフレンチ料理やチョコレート職人(ショコラティエ)、コーヒー専門家(コーヒーハンター)の技と味を楽しむどころではなくなるだろう。どうするのかと思っていたところ、土曜日朝に船長から、この日は終日横浜沖にとどまるとのアナウンスがあった。安全のためにやむをえない判断だろうが、一日中東京湾の同じ景色とあって、本船はクルーズ船というより横浜港沖・美食遊覧船と化したのであった。
もともと我々夫婦は”にっぽん丸”でクルーズに慣れ親しんだものの、ここ数年間は国内では”飛鳥Ⅱ”に乗る事ばかりだったので、”にっぽん丸”の雰囲気はどうだったのかちょっと興味を持って今回の乗船である。と云うところで久しぶりの”にっぽん丸”も、ほとんどのサービスクルーが代わってしまい顔見知りが少ない上に、彼らの対応にちょっとよそよそしさを感じたのが不思議だった。例えばこちらが船上で覚えたたどたどしいタガログ語で挨拶すると、飛鳥Ⅱのクルーは「上手デスネー」などと大げさに喜び、新しい単語を教えてくれたりするが、この船のフィリピン人ははにかんだ様なシャイな笑顔を返すものが多い。日本人クルーも会釈する際にちょっと視線をそらして遠慮がちなのが気になる。以前”飛鳥”常連の友人が初めて”にっぽん丸”に乗船した際に、「クルーと乗客に距離がある」と言っていた通り、”飛鳥”では良く言えばクルーがフレンドリー、人によってはちょっと馴れ馴れしいと感じる様な接客態度なのに、”にっぽん丸”では節度ある対応というべきか親密さにやや欠けるものを感じた。
さてこの船は『食のにっぽん丸』と云われるが、ディナーのメイン料理はさておき、サラダのドレッシングや朝食にでる野菜のクルーム煮などちょっとした料理の味付けが絶妙で、思わず朝からサラダのお代わりをしてしまう。料理を美味しく提供するのはこの船の300名~400名位の定員が適しているのだろう。リドテラスのハンバーガーも飛鳥Ⅱのリドグリルのそれより美味しく味わった。また以前はデッキのジョギング禁止で我々は運動不足になって困っていたが、フィットネスのマシンが最新鋭のものに代わり、そこで走れたのは注目すべき改善点であった。それでも”飛鳥Ⅱ”に比べると船体やキャビンの設備差はいかんともしがたく、やはり早晩本格的な新しいクルーズ客船が欲しいと思いつつ 『横浜沖クルーズ』 から下船したのだった。そういえば、この船でかつて大時化の際、カクテルパーティが中止になった夜がフリードリンクとなって「お、粋だね!」と思ったものだが、気象のせいとは云え今回の様に予定外の航海の日も飲み放題とすればまたファンも増えようと云うものだ。高齢者や女性客も多いから皆がそうガブガブ飲む訳でもなし、バンカー(燃料油)のセーブに比べたらタカがしれている。ファンを増やすチャンスなのに、”にっぽん丸”もちょっと商売っ気がないものである。
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