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2013年12月23日 (月)

太平洋戦争は無謀な戦争だったのか

昔から第2次世界大戦に興味があって随分多くの書物を読んだが、最近は読売新聞の土曜日朝刊を読むのが楽しみである。連載されている紙面1ページ大の「昭和時代」は、なぜ日本が戦争に突き進んだのか判りやすく解説されており、改めて土曜の朝はちょっとした日本近代史の勉強をしている気持ちになってくる。そんな中、本屋で見つけた新刊が「『太平洋戦争』は無謀な戦争だったのか」(ジェームズ・B・ウッド著 WAC文庫)である。12月14日にアップした「敗戦史観を超えて」の通り、私も先の大戦における日本の戦い方はあれで良かったのか、という思いを常々抱いているから、迷わずこの本を買って連休中に読んでみた。著者は軍事史を研究する米国の大学教授だそうで、一部に天皇の役割や特攻隊員に対する誤解があるものの、まず公平かつ冷徹な視点で日米の戦争を俯瞰している相当な大作であった。


そもそも「あの戦争は無謀だった、戦うべきではなかった」と戦後日本人が信じこんでしまった事が、正しい反省なのだろうかとの思いが私からは去らない。我々の父祖の代はそんな無謀で世間知らずだったのだろうか。あの当時、世界で日本だけが残虐で向こう見ずな行為をしたのだろうかと考えると、そんな事は絶対あるまいと信じるのである。どうやらアメリカの圧倒的な物量の前に大差で破れ、無条件降伏に追い込まれたショックを今に至るまで引きずり、そのくびきから日本人が未だに逃れられない状態にあるのではないか。特定秘密保護法に対するヒステリックかつ見当違いなメディアの反応などを見るにつけ、先の戦争への再評価を我々自身が迫られているのではあるまいかと常々感じているから、「日本敗北の運命が決まっていたのではない」「開戦は絶好のタイミングであった」という筆者の考えにわが意を得たりと頷きたくなるのである。


さて、この本も総論としては日本が敗れる事は不可避である事を前提に書かれているが、戦い方をもっとうまくやれば有利な条件で講和できたはずと筆者は説く。考えてみれば大戦の前段階であった中国での戦いは、真珠湾以降ほとんど戦史的な話題として取上げられなくなったのが事実で、そうであれば中国各地に展開していた陸軍をなぜもっと大規模に太平洋の島を巡る攻防に割かなかったという疑問がただちに湧きあがる。またテニアン島などマリアナ諸島の防御を固めて米国に取られなかったら、B29の発進基地が作れなかったから本土空襲や原爆投下もそうたやすくなかったであろう。緒戦の勝利に驕ってミッドウエイやガダルカナル、パプアニューギニアにまで戦線を伸ばしすぎ、アメリカとの消耗戦に引きずりこまれたのが日本の敗因であると著者は指摘し、兵力や艦隊をうまく温存しておけばもっと有利に戦局が進められたはずだと云う。


その目的の為には、日本軍による太平洋の戦いは大したものではないと米国に認識させ、彼らの戦力をヨーロッパ戦線により多く向けさせる慎重な思慮が必要だったが、日本軍が余りにも強烈かつ広範囲にアメリカを戦争を駆り立てる行動を取ってしまった点が悔やまれるのである。ロジスティックスを重視しつつよりコンパクトに戦っていれば、日本の国防圏が突破される時期ももっと遅くなったはずで、その時はソビエトの参戦もなかった可能性が大である。著者は日本がうまく戦って昭和20年の夏にまだ相当の戦力を保持していれば、アメリカは本土決戦で多大な犠牲を予想し、「戦争に疲れた連合国は、日本本土の破壊と占領を回避しながら、日本が最も近年に占領した領土を手放すという和平折衷案を受け入れるのに積極的だったかもしれない」としている。歴史にイフはないものの、そうならば満州国も存在していたであろうし朝鮮半島や台湾も日本の領土として現在に至るまで保全されていた事になり、日本人の考え方も今とは大きく違っていたであろう。

20131223

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コメント

はじめまして.
何事もロジスティックを制するものが勝つ,ということなのかな,と思いました.圧倒的なアメリカの物量に日本は対抗できなかったのですから...

真珠湾攻撃から講和までをもっと短期間に進められたら,その後の展開はまったく今とは異なっていたとは思いますが,歴史にifは無いので...
日本は敗北しましたが,その後アジアの植民地が解放されたことから,これも日本の運命だったのか,とも思いました.
以上,長々と失礼致しました.

あきらさん

コメントありがとうございます。ロジスティックスの事も筆者は触れていますが、この本を面白いと思ったのは、真珠湾からミッドウエイ、ガダルカナルの派手な戦いは行わず、昭和17年初頭にさっさとこれ以上戦線拡大の意思なしと国際的に宣言し、アメリカの主敵をナチスに向けさせ消耗戦をさけた方が良かったという点です。日本人が持てなかったしたたかな戦略が垣間見える様です。

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