カシオペアに望む
1ヶ月前の『10時打ち』でゲットしたプラチナチケット、寝台特急”カシオペア”の個室”カシオペアデラックス”に札幌から上野まで乗車した。これで”北斗星”(上野→札幌)、”トワイライトエキスプレス”(大阪→札幌)についで、”カシオペア”(札幌→上野)と現存する3大豪華夜行列車の旅をすべて体験できたと、我が妻は事のほか喜んでいる。”カシオペア”は予想にたがわない快適な列車で、かつて北海道に渡るのに青函連絡船を乗り継ぎ、上野から24時間ほどかけて札幌にたどり着いた頃とは隔世の感がする。それでもこの列車が誕生したのが1999年だから、もう14年間も経過したわけで、乗車してみてアコモデーションにいささか古さを感じ、設備に不満を覚える点があったのも事実である。
カシオペアデラックス個室
設備面でいえばまずウオシュレットのないトイレである。いまや最新のボーイング787など航空機のトイレにもウオシュレットが装備される時代だ。特別料金を徴収するカシオペアほどの列車なら、デラックス個室にはウオシュレットくらいはつけておいて欲しいものだと思った。また各個室の液晶テレビは、現在位置がわかる様にモニター映像が映し出されるものの、表示される地図は肝心の駅名が記されていない。もともとは既存の道路地図などを利用したものだろうが、少なくとも駅名や現在の走行距離、時速などの情報は表示する様にソフトを入れ替えて欲しいところだ。そのほか機関車に前方展望カメラを置いて、ジャンパ栓を通して個室でモニターする事くらいは難しい事ではあるまい。航空機やクルーズ船では、今やごく当たり前に前方風景がテレビで見られるから、”豪華列車”ならこの程度のサービスは必須アイテムといえよう。
ダイヤの面では、ビジネスユースでない列車でこんなに速く走る必要があるのか、と疑問に感じた。上り列車は札幌発1612分・上野着0925分(乗車日は沿線の火災で1時間遅れて10時半頃上野着だったが)、札幌ー上野間1215キロを17時間余で走るので、平均時速は70キロほどと結構速い。心配していたJR北海道区間は保線状況が却って快適に感じたが、深夜に通過する「青い森鉄道」や「IGRいわて銀河鉄道」区間では、ポイントを通過する際などは相当揺れ、寝台での睡眠は途切れがちであった。北海道と首都圏連絡ではほとんどの旅行者が航空機利用で、カシオペアといえばほぼ観光列車だろうから、停車時間をもっととると共に、走行スピードを下げて20時間ほどかけて走ったら快適ではないだろうか。札幌を午後早くに発車すればつるべ落としの秋の陽でも、北海道の雄大な景色や噴火湾の海岸を楽しめるし、関東平野の朝景色ももっとゆっくり味わえる事だろう。
現在わずか1編成しかないカシオペアでは、整備の時間を捻出するためにこの様な窮屈なダイヤ設定になるのだろうから、せめてもう1編成くらいは造って欲しいところである。さて九州では”ななつぼし”と云う、豪華クルーズトレインが運転を始めたそうである。新幹線が青函トンネルを通って函館まで延伸された際に、このカシオペアの処遇がどうなるのか不明だが、ゆっくりと列車の旅を楽しみたいという需要は今後ますます多くなる事だろう。今回乗車した”カシオペア”は、従来の列車に較べて快適な事この上なかったが、将来は振り子など最新の設備を駆使し、ダイニングカーも2両くらい組み込んだ北海道連絡の新型車両を開発して欲しいものだ。そんな列車が札幌で稚内方面行きと釧路方面行きなどに分かれ、乗客は昼間ゆったりと北海道の風景を車窓から堪能できるなら、私達も是非もう一度乗って見たいと鉄道ファンの見果てぬ夢は続くのであった。
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