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2013年9月 4日 (水)

日本の客船ビジネス (月刊誌・海運より)

20130904s

総合物流情報誌として永年出されている月刊誌「海運」(日本海運集会所刊)の9月号に『JAPAN客船ビジネス最前線 』-日本人による日本人のためのクルーズをどう深耕するか-という特集が掲載されていたので興味を持って読んでみた。ぱしび、飛鳥Ⅱ、にっぽん丸とそれぞれの客船会社社長へのインタビュー記事の他、旅行業界や造船所から見たクルーズ船の現況特集で、日頃あまり一般に馴染みのない客船設計の基礎知識や、クルーズマスター制の事なども伺い知る事ができて面白い。しかしこの特集の中核である日本のクルーズ船三社社長へのインタビュー内容は、残念ながら少々失望を覚えるものであった。


世界のクルーズ人口は2000万人とこの10年で倍になり、米国だけでなく欧州も「1年に1社クルーズ船会社が増える盛況」(飛鳥Ⅱで昨年知り合ったドイツ人乗客)、アジアでも中国人をターゲットに欧米のクルーズ資本が本格的に事業展開を始めようという矢先、日本のクルーズ人口だけは年間20万人から漸かに増えただけと云う有様である。この日本市場にも今年から米国のプリンセスの他、外国船のチャータークルーズ等が殴りこみをかけようとしているのに、インタビューにおける邦船三社社長のコメントからはクルーズ産業の振興に関して、あまり覇気が感じられない。いわく「日本の客は、シニアが中心できめ細かいサービスを期待」「日本人の休暇の考え方が違う」と細々と営業している日本船の現状をそのまま追認し、「我が国は海に馴染みがない」「日本船の規制が多すぎる」と事業環境の悪さを嘆く。そこからは外国船の日本市場参入を機に自らのビジネスモデルを大きく変革し、事業を飛躍させようと云う気概があまり伝わってこなかった。


現状維持で良いと考える証左に、新造船計画については、ぱしび「まだまだ使える、船を増やす計画はない」、飛鳥「このサイズが適正、隻数も増やさない」、にっぽん丸「現在の船でサービスの中身を進化」と3社とも明確に否定しているが、ガラパゴス化した現在のビジネス形態で、この先一体どれだけ地平を開く事業展開ができると云うのだろうか。そこには親会社に負担をかけない程度にそこそこやっていれば良い、という本音が透けて見えそうだ。例えば外資と組んで日本クルーズ人口は3年で倍にしてみせるとか、外国船を追い落とすとか、国の規制何するものぞなどと云う攻めの姿勢が記事からはまったく見えない。とまれ現状維持を良しとする業界は、流れについて行けずに、遠からず自ら消え去っていくのが世の常である。40年前、航空機の発達の前に船は時代遅れと誰もが思った時に、今のクルーズ事業を思いついたのは米国の一アントレプレナー(起業家)だった。百田尚樹の「海賊とよばれた男」ではないが、現状を大変革してクルーズを一大産業にし、そこで勝負する破天荒な日本のクルーズ会社が現れないものかと、特集を読みながらいささか寂しく思った。

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