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2013年9月27日 (金)

いつか来た道?

我が国が憲法や集団的自衛権の見直しを進めようという昨今、中国や韓国の他、国内でも一部から、日本は昭和初期の戦争に向かう「いつか来た道」を再び歩んでいるのかと批難の声があがる。的はずれの馬鹿げた批評だと思っていたところ、9月22日読売新聞「地球を読む」で、政治・歴史学者の北岡伸一氏が極めて明快に、それはありえない、と反論していて胸がすっとした。その論旨は戦前の日本が戦争に向かった諸条件として、①地理的膨張が日本に必要だとする当時の考え ②相手(中国)が弱いという認識 ③国際社会や国連は無力だという判断 ④政治の軍に対する統制の弱さ ⑤言論や報道の自由がなかった事 という5つを挙げ、今の日本はその様な状況にはまったくないと説いている。さらにこの5つの条件がそっくりそのまま当てはまるのが、今の中国だとの北岡氏の指摘にその通りだと納得するのである。


考えてみれば、日本人でこれから中国や韓国に攻め入ろうとか、国連を無視して軍事行動を起こそうと云う人はまずいないが、中国は隣接するほとんどの国と諍いを起こしながら、強面で軍事大国の道を歩んでいるのである。もっとも先にアップしたとおり日高義樹氏の「アメリカの新・中国戦略を知らない日本人」などを読むと、経済成長を背景に中国軍の軍事的プレゼンスが増しても、彼らの実際の戦闘能力はとても米軍に対抗できるものでは無い様だ。たとえば中国はウクライナで造られた中古の空母を購入したが、艦載機の訓練や地上基地、他の護衛艦との連携など、実戦に役立つレベルまでは相当課題があると云われている。潜水艦も多数建造しているがソナーの性能が劣るし、開発中のステルス戦闘機もアメリカのそれに比べると能力が雲泥だそうである。


太平洋の西半分は自分達の庭にして、好き放題やりたいという中国の野望も、軍事面でいえば当分米軍のプレゼンスが圧倒的に優位な様だ。それにも増して、仮に金に明かせて最新兵器を揃えてみたところで、高度な作戦を展開する現代の戦いを、現実に中国の軍隊が遂行できるであろうか。仕事で、中国の商船や中国人クルーのかなりお粗末な仕事ぶりに呆れ、およそ先進国では起こらない奇妙なクレームに悩まされる身としては、今の彼らのレベルで、訓練や兵站を考えつつ作戦を展開するのは無理なのではないかとさえ思う。実際、彼らは船舶に必要な法令の遵守や機器のメンテを怠ったり、安全航海のために決められた国際ルールを守らぬ事があり、欧米の港で出港禁止になる事がしばしば起こる。何よりそれらの検査で「船内が非衛生だ」と指摘を受けると、司馬遼太郎が「坂の上の雲」で、艦内の非統率ぶりや仕事に対する誇りの欠如を描いた清国の戦艦”定遠”の時代から、彼らの文化は何も変わっていないのだと思うのである。

「アメリカの新・中国戦略を知らない日本人」本年3月19日

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