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2013年9月30日 (月)

視界良好なれどなぜ衝突?

伊豆半島と大島の間の海で去る27日未明、日本の内航貨物船とシェラレオネ籍の貨物が衝突し、内航船の乗組員が多数亡くなった。沈没した日本の貨物船「第十八栄福丸」は、名古屋から千葉の市川港に鋼材を、相手船の「ジイアフイ」号は、シェラレオネ船籍というものの実質中国船のようで、川崎港を出港して韓国の釜山に向かっていたと云う。現場はちょうど東京湾を出て西日本に向かう船舶が、伊豆半島の神子元(みこもと)島にある灯台をめがけて針路をとる航路上の様だ。逆に西日本から東京湾に入る船も同じルートを通るから、事故の起きた海面は海原であっても、面ではなく線上の様なものといえよう。事故後の海上保安庁の検証によると、両船は左舷同士で正面から衝突しているとされているから、正に線上での事故という事になる。


沈没した「第十八栄福丸」は総トン数498トン、いわゆる499(よん・きゅう・きゅう)と呼ばれる船型で、500総トン/以上の船舶と比べ、船員資格や乗組定員の要件が有利なことから経済船型と呼ばれている。経済性と効率性のバランスに優れた船型で、各種工業用原材料をばら積みするほか、今回の様に鋼材を運ぶ事も多い。新聞記事によると、ちょうど現場付近を航行していた東九フェリー「オーシャンノース」の当直2航士が午前1時15分頃、左舷前方800米付近で、2隻の船の航海灯の動きが止まったのを確認し通報したという。当日の天気は晴れ、月齢は22日の半月、波高3米程度で、やや波は高いものの大島を望む海面は明るい月に照らされていた事だろう。


「オーシャンノース」の2航士はレーダーでも2隻の動きがなくなったと言っており、どうやら「栄福丸」と「ジ」号が衝突コースを対向している事をフェリーのブリッジでも認識していたのかもしれない。「オーシャンノース」の運航スケジュールを東九フェリーのホームページで確認すると、徳島を出て事故のあった27日の早朝に東京港に着くダイヤとなっているから、時間的に「栄福丸」を現場付近で追い抜こうとでもしていたのだろうか。フェリーのブリッジのレーダーでは周囲の船の針路も表示されるから、同航船の栄福丸のコースが、対向船の針路次第でどう変わるのか注視していたかもしれない。この様に2つの船がまっすぐ対向する場合には、両船が互いに右に舵を切って避けるのが海のルールだが、一瞬早く右転を始めた「栄福丸」に対して、「ジ」号の回避が遅れ結局「栄福丸」の左舷後方に「ジ」号がぶつかった様である。


この時間、「ジ」号は船舶の輻輳する東京湾を抜け、浦賀でパイロットをおろしてほっと一息の頃、船長もブリッジの操船を当直航海士に任せていた事であろう。一方の内航船も昼間の荷役に疲れている上に、月明かりの慣れた航海とあって、回避行動が遅れたのだろうか、海難審判で事故の原因を充分解明してほしいところである。それにつけても考えるのはレーダー波やカメラなどを使って、船舶が衝突を回避する装置が普及しても良いのではないかと云う事である。すでに自動車ではぶつからないクルマや、高速道路でレーンをはずさないクルマが実用化されている時代である。洋上の船、あるいは岩礁などとぶつからない様に、乗員に『積極的』に注意を促す装置は、それほど技術的に難しいものではあるまい。過酷な労働を強いられている内航船や、いろいろな国のサブ・スタンダード船が交錯する我が国周囲の海域を安全なものにする為に、最新の技術を使った安価なより確実な衝突防止装備が欲しいものである。

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