東京オリンピックマーチ
久しぶりに少し気温が下がり、ちょっと過ごしやすくなった金曜日、昼前に会社を抜けて日比谷公園に一人そそくさと向かう。春・秋に野外音楽堂で行われる東京消防庁音楽隊による恒例・金曜コンサートの、秋の部が今日から始まるのである。都心にあっても緑に包まれている野外の客席には、近所の勤め人より、わざわざコンサートを聴きに来た老人の方が多くて、何だか神宮球場で行われる東京六大学野球の観客席のようだ。会場で配られる簡単なプログラムでは、ジョン・フィリップ・スーザの”サウンド・オフ”やヨハン・シュトラウスの”常動曲”に始まって、最後に東京オリンピック・マーチを演奏するとあるので今日のコンサートは楽しみである。
コンビ二で買ったサンドウイッチをつまみつつ、秋の気配が訪れた公園の昼下がりにゆったりと音楽を聞けるのは、東京都心ならではのちょっとした贅沢というものである。司会の女性によると、この週末にいよいよ2020年のオリンピック開催地がアルゼンチンのブエノスアイレスで決まるので、東京が選ばれる事を祈念しての東京オリンピック・マーチだという。ブリリアントな東京オリンピック大会のファンファーレに続き、いよいよ演奏されたオリンピックマーチは、イントロの分厚いハーモ二ーの演奏がぴたりと息が合って、思わず「うまい」と観客席で一人拍手したくなる。こうして東京消防庁音楽隊の演奏を聞いていると、アベベ・ビキラや円谷幸吉、チャフラフスカや東洋の魔女の姿が脳裏に浮かんで来そうだ。
それにしても焼け野原になった東京で、戦後わずか19年で、アジア初のオリンピックが開催されたわけで、我々の父祖の代の日本人の意気込みには今さらながら感服し、東京中の道路が掘り起こされ、町が変わっていったあの頃の熱気を懐かしく思い出すのである。そしてバブル後の20年間に亘って失われた日本の活力を取り戻し、次世代に向かって進むために、東京が2020年大会の開催地に再び選ばれてほしいと、コンサートを聞きながら思っていた。当選した暁には新しい曲など作らず、メロディシアン古関裕而氏作曲のこの素晴らしい東京オリンピックマーチや、三波春夫の東京五輪音頭が再び都の空の下で演奏されたらなあ、等と思いながら会場を後にした。
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