BACK to THE 1980's
クルマの雑誌など最近とんと買わなかったが、本屋の店頭にあるベストカー・プラス、10月18日増刊号・総力大特集 "BACK to THE 1980's"という本がふと気になり手にしてみた。「日本のクルマが最も熱かったあの時代」 というタイトルと、掲載された数々の懐かしのクルマの写真を見て、ちょっと立ち読みした後に迷わず購入してしまった。なぜ珍しくこんな雑誌を買ったかというと、この雑誌の巻頭の言葉に代表される、「1980年代。日本も元気だったが、クルマはもっと元気があった。」「あの頃日本のクルマには『夢』も『希望』も『羨望』もあり・・・」 「メーカーもユーザーも一緒に祭りに参加していたような、ちょっとおかしい、だけど絶対的に楽しかった時代・・・・」 と言う1980年代を振り返りたくなったのである。また最近のクラウンの妙なフロントグリルや、フーガのうねったボディを見るにつけ、シルビアやジェミニ、カリーナなど、あの頃のすっきりしたクルマのデザインに郷愁を覚えるのも購読の理由である。
そういえば年号が昭和から平成に変わったのが1989年、その年の暮れに東証の日経平均株価が3万9000円近い史上最高値になった様に、1980年代日本はバブルに浮かれていた。クルマではハイソ・カーブームやシーマ現象がおこり、国内向けの需要によって、日本車がガラパゴス的に発展する事が許された時代でもあった。その頃を懐かしむ自動車評論家のコメントを読んでいると、当時の世相や自分の若い時代を思い出し、「ああ、そうだったよね」と思わず膝をうち、余りにも画一化され、効率一辺倒になった現代と比較してしまうのである。誌上対談で評論家の一人は 「(80年代は)自動車の進歩といろんな足並みが、偶然も含めてぴったり合ったという感じがしますね。団塊の世代で子供の頃ハングリーで、大人になって頑張るというもろ肉食系の世代の人達の確固たる需要があって、というようにいろんなものがきれいにシンクロしましたよね。」 と述べている。
熱気ムンムンの当時を振り返り、別のクルマ評論家は、「ケシカランことに近ごろの若いものは、好きな女の子をドライブに誘って、一気に仲よくなろうという 『ピュアな野望』 は抱いてはいないようです」 「ああ、なんて嘆かわしい。クルマなんてものは野望や下心を抱いてナンボです」とし、「言っちゃなんですが、今50歳前後の世代は、誰よりも強くクルマの神通力を信じ込んでいます。それは多感な若かりし頃に、クルマが今よりもずっと輝かしい存在だったからかもしれません」と書いているが、この評論家より10歳以上年上の我々世代は、より一層クルマへの思い入れが強いといえよう。事実、私も80年代は新車が出ると自動車誌を買ったり、パンフレットを取り寄せたりで、結局10年間で4台もクルマを乗りついでは、いつもピーピーしていた事を思い出す。それにしても、こうして過去のクルマを振り返ると、自分のこれまでの来し方や、過ぎ去った人生を思い出して懐しいし、雑誌とは云えクルマの発展を纏めて回顧してみると、それだけでちょっとした機械文明論を読んでいる気がするのである。
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