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2013年8月24日 (土)

トモダチ作戦

8月5日夕方、沖縄キャンプ・ハンセンで、米空軍のHH60G型救難米軍ヘリコプターが墜落し搭乗員1名が死亡した。(産経や読売以外の)メディアはやはり、またぞろ沖縄は危険と隣合わせであるとか、オスプレイの配備を延期せよなどとかまびすしい。そもそも今回は米軍施設内に墜落して外部に負傷者が出ていないし、このヘリとオスプレイには何ら技術的な関連性がないのに、米軍の事故と聞くと毎度、きわめて情緒的かつステレオタイプの報道がなされうんざりしてしまう。そもそもヘリコプターは滑空できない飛行特性の上に、山岳地帯で救難活動に使われたり、電線が張られた低空も飛ぶから他の航空機より事故率は高いのである。その上墜落したのは戦闘捜索救難ヘリと云い、敵地に墜落した友軍のパイロットを救ったり、同盟国の負傷者を救出する機種だそうで、当然訓練は厳しく、その点ではより危険なものだと思われる。しかし訓練場以外の通常の発着においては、他のヘリコプターと何ら変わりないだろうから、沖縄の米軍ヘリが危険だというなら、東京の上空を飛ぶ各種ヘリ、なかんづく事故現場に雲霞の如く飛来するメディアのそれなどは一体どうなのだと、思わず突っ込みをいれたくなる。


などと思っていたら、昨日8月23日の読売新聞の「論点」に、在沖縄米空軍司令官ジェームス・へカー准将司令官の投稿があった。それによると、事故をおこした部隊は東日本大震災で被災した東北地方に津波発生から3時間以内にHH60型ヘリと救難員51人を派遣し「トモダチ作戦」に参加した部隊で、被災者支援のために55件の任務で310時間の飛行を遂行し、約1.4トンの食糧、飲料水、医療物資を届けたそうだ。米軍に関連した事故が起きると、常々そのマイナス面ばかりが報道されるが、今回の部隊が米軍のトモダチ作戦に関わった事など寡聞にして知らなかったので、時宜を得た「論点」への投稿だと興味をもって読んだ。とくに注目したいのは、部隊が地震後3時間で被災地に派遣された事で、これは救難ヘリコプターの高い機動性と日頃の訓練の賜物であろうし、この特徴をフルに発揮する為には、訓練は過酷なものだろうと容易に想像できる。今回の事故は斯の様な厳しい訓練に由来するものなのか、通常のメンテや運用に起因するミスなのか、その原因を米軍はしっかり調査して欲しいし、メディアは単純な色わけで、米軍ヘリが危険でオスプレイも同様であるかのような報道をするが、これはどうかと思うのである。


「論点」でジェームス・ヘカー司令官は「我々は地元の人々と米隊員の安全を最大限に確保するため事故の究明に取り組んでいる。日本の方々の支援と賛同のもと、厳格な訓練を継続し、東アジア地域の平和と安定を維持し続ける所存だ。我々の同盟国であり、大切な友人である日本の防衛に強く関与し続ける。」と述べている。多分に日本人向けに米軍のプロパガンダが入っていると云う点を割り引いても、ほとんどのメディアが沖縄の米軍基地のマイナス面だけことさら取りあげて報道するなかで、この「論点」の中身は、地域と共存する決意を米軍側から表明したもので、なかなか意味深いと私は感じた。沖縄に極東アジアの防衛負担の多くを任せている現状について、もっと国民的な議論がおこっても良いと思うが、その為には特定の見方に基づく情緒的な米軍反対記事ばかりでなく、沖縄に展開する米陸・海・空・海兵隊各部隊の任務やその『訓練』、機材の運用やその特性をもっと詳細かつ正確に知り、地域の安全の為にはそれらがどう有効であるのか米軍の見解も含めて知りたいところである。台頭する中国の軍国主義を前に、沖縄の戦略的位置付けに対し、偏った思想によらない冷静な評価・分析が必要なのだと「論点」を読みながら考えた。

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