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2013年7月14日 (日)

船体の大型化はこのままで良いのか?

8000個積みの新鋭大型コンテナ船”MOL COMFORT”号は、6月17日にインド洋において何らかの原因で船体中央部に亀裂が入り、その後船体が真っ二つになった。船体の後ろ半分は6月27日に沈没してしまったが、残った前半部は積荷とともにタグボートで陸地に曳航されていた。しかし曳航中の7月6日に火災が発生し、消火活動に努めたものの、結局7月11日にインド洋に沈没したと発表されている。当初、このニュースが報道された時は、本船は韓国か中国の造船所で出来たコンテナ船に違いないと思ったが、実は三菱重工の長崎造船所で出来た船だと云うからびっくりした。なにしろ中国の造船所で出来た船は、必要な各種の基準に達していなかったり、デッキの鉄板が柔らかかったり、船体の各所に欠陥が見つかったりと云うケースが世界で頻発しているなか、日本の船については極めて安心だと世界中の海事関係者に信頼されていたからである。


かつて日本の高度成長期、貨物船が大型化した時代に”ぼりばあ丸”や”かりふぉるにあ丸”など船体が折れる大きな海難事故が起き、それ以来、現在に至るまで船体の強度について永年に亘る不断の努力で改善がなされてきたはずである。すでに世界では1万6千~8千個も積める巨大なコンテナ船が出現しており、8000個積みのCOMFORT号クラスでは強度なども充分解析されていると私は思っていたので、船体が真ん中でぽっきり折れるという事故は衝撃的である。2011年の春、飛鳥Ⅱのワールドクルーズの際は、遮る陸地のないインド洋で、はるか南からの大きなうねりが永く続き、そのエネルギーの巨大さを実際に体感したものだった。しかしCOMFORT号は2008年に出来た人間で言えば青年期の働き盛り、どう考えても船体に経年劣化が出る年齢でない。新しい鋼材が使われたと云う船体強度に何か根本的な強度計算ミスがあったのか、あるいは積荷であるコンテナの積み付け(重量配分)を誤ったのか疑問は深まるばかりだ。


先年ブラジルの鉄鉱石をアジアに運ぶために韓国で造られた世界最大40万重量トン級の鉱石船は、鳴り物入りで完成した後に船体に欠陥が見つかって大きな問題になった。また船がドックに入ると思わぬ亀裂が見つかったり、ホールド(貨物倉)に漏れる筈のない燃料がにじみ出ていたりすることがあって、ただでさえ船の世界は予想外のことが起こるものである。8000個積みのコンテナ船でさえ、二つに折れてしまう光景を見ると、船体の大型化がこのまま進んで良いのかという事を考えさせられる。殊に大勢の乗客を乗せるクルーズ船は近年大型化するばかりで、最近では20万総トンを超えクルー2000人乗客4000人を収容する、一つの町の様な巨大船が出現している。もちろん最新の技術を使った様々な強度計算が為された上で竣工しているに違いないし、重い荷物を運ぶ貨物船とクルーズ船は要件が違うのも事実である。しかし自然は侮れない上に人知は限りなく、大型化にはまだ解明されていない様々な危険があると云う事を、この事故であらためて思い知らされた気がする。

三菱重工長崎造船所で建造中の沈んだMOL COMFORTの同型船
(コスタビクトリアから撮影) 隣のイージス艦(ちょうかい)との大きさの違いが判る
20130714mol

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