陸と海と空 その3 苫小牧連絡バス編
という事で、羽田空港からJALの777機に乗って千歳空港に到着したのは午後4時過ぎ。午後10時に苫小牧駅から出るフェリー連絡バスまでは、たっぷり時間があるのでここ南千歳にあるアウトレット”レラ”で時間をつぶす事にした。御殿場のアウトレットなどでは人の多さにうんざりして、妻の買い物時間中はクルマで待っている私でも、土曜日と言ってもここではさすがに場内が閑散としていて気持ちが良い。アウトレット内のラーメン店で妻と二人で本場サッポロ味噌ラーメンに舌鼓をうち、午後8時の閉店時間までゆっくり買い物ができた。私は普段買い物など余りしないから、なにか数年分のショッピングを楽しんだ様な感じで少々疲れた。でも気合を込めて買ったもの物は、宅配便で自宅へと便利な世の中になったものだ。
8時過ぎに一旦空港に戻り、空港から40分程バスに揺られて苫小牧駅に着いたのが夜の9時すぎ。繁華街に行って軽くスシでもつまむか、とも思ったが勝手知らない町だしそれほど時間も残っていない。結局駅の売店で缶ビールと日本酒、それに蒲鉾を調達してしばしフェリー連絡のバスを待つ事にした。それにしても駅前のバスターミナルは午後10時にもなれば、ほとんどの最終便が出た後で、蛍光灯に薄暗く照らされるバス乗り場はまるでゴーストタウンの様だ。16番「新日本海フェリー」行きと書かれた乗り場はおろか構内には我々以外に人の気配もなく、本当にバスが来るのかと心配になる。定刻10時にやってきたバスの運転手は、発車するなり「乗客2名」とどこかへ報告していたから、我々がいなければそのまま営業所へ帰って今日の業務は終了、という事だったのだろう。
苫小牧東にある港までは、10分も乗れば着くのかと軽い気持ちで乗った連絡バスだが、貸切状態のまま行けども行けども漆黒の闇を突き進むばかり。この夜は鉄道が遅れるほどの濃霧が辺りをすっぽり包み込み、苫小牧の町の灯りははるか夜霧の彼方へ消え去る中、このままこのバスは霧に包まれて異次元に行ってしまうかと云う気分にさせてくれる。黙って白っぽい闇を見つめる運転手の背を見つめながら「これ本当にフェリー乗り場に行くのだろうか?・・・と、運転手が『お客さん・・・』と後ろを振り向いたら・・で、で、出た~、のっぺら坊」など妻をちょっとからかうと、妻は「やめてよね」と真剣な顔をしている。これはとても女一人では乗れない感じである。そんな我々の気持ちもどこへやら、闇夜を疾駆したバスの前に、やがて霧の彼方からうっすらと巨大なフェリーのフェンネルが浮んできた時には、トワイライトゾーンから抜け出た様な気持ちがしたのだった。それにしても苫小牧からバスは走りに走って45分、とても苫小牧とは云えぬ辺鄙な場所(厚真)にあった新日本海フェリーターミナルへの小バス旅は、日常からの脱出感を十分に演出してくれたのだった。
こんな音楽が似合う苫小牧東港行きの連絡バス(青字をクリックすると再生)
« 陸と海と空 その2 京急編 | トップページ | 陸と海と空 その4 フェリーすずらん乗船 »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 立山黒部アルペンルート(2)と上高地(2023.06.04)
- 立山黒部アルペンルート(1)(2023.06.01)
- 黒部峡谷鉄道 トロッコ電車(2023.05.29)
- 東北鉄道旅 (補遺編)(2023.04.12)
- 氷見ブリと「べるもんた」(2)(2023.02.20)
Bulkcarrier様
ようこそ、北海道へおいでくださいました。とは申せ小生は相変わらず長期出張で国内をうろうろしていて、なかなか札幌に腰を落ち着けていられません。
今回おいでになった苫小牧東港はSNF社のみが利用していて、西港に間違っていかれる方が相変わらず多いようです。連絡バスですと安全ですが、JR利用ですと40分ほどの歩きとなり、秋口はヒグマ出没の危険もあるところです。自家用車で行っても道を間違ったかと不安になります。
是非、流氷の時期にもおいでくださいますように。
投稿: まろんの父 | 2013年6月18日 (火) 21時18分
まろんの父さま
お久しぶりです。正直あのターミナルにはびっくりしました。切符予約時に電話で「苫小牧からタクシーで行ったら良いですよね」と聞いたら、「是非バスをご利用下さい」と案内があった訳が判りました。それでも霧の中、ちょっとした北国の旅行気分を味わえ、それはそれで印象に残った道中でした。オホーツクに流氷がくる頃には、東港近辺はどんなになっているのでしょうか?
投稿: バルクキャリアー | 2013年6月18日 (火) 22時58分
オホーツク海の流氷は例年1月末~2月10日前後まで接岸しますが、地形的に知床半島で引っかかって止まる形となりますので、枝幸町~斜里町の海岸のみ接岸し、たまに稚内の日本海側と根室近くまで南下します。苫小牧はスケートが盛んな街で(アイスホッケーで知られています)、ことほど左様に雪があまり降らず、海が凍ることはありません。流氷は行けば必ず見られるものでなく(風向きにより沖合から近づいてこない日も多くあります)、一晩で接岸と離岸をしますので、少し日程に余裕を持たれて、女満別空港か紋別空港からバスでお泊り先においでになり、タクシーをご利用なさるのがよろしいかと存じます(運転には慣れておいでと存じますが、道民でも真冬のオホーツク沿岸の道路は避けたいほど、危険です(超超ブラックアイスになることが多いため))。 流氷が接岸する際には、鳴き声が聞こえます。是非機会を作られて、ご来道なさいますよう、お待ち申し上げます。
投稿: まろんの父 | 2013年6月20日 (木) 11時38分
まろんの父さま
ご丁寧にありがとうございます。知床は高校の修学旅行で行って以来再訪した事がありません。いつの日か又行ってみたいと思っております。流氷の事、良くわかりました。バス、タクシー、それにガリンコ号などを使って訪れてみたいと思います。
投稿: バルクキャリアー | 2013年6月20日 (木) 22時24分