陸と海と空 その1
昭和37年ごろ毎週日曜の朝「陸と海と空」というテレビ番組があった。三遊亭小金馬氏の司会でスポンサーはプラモデルのマルサン、模型の話と共に最新鋭の陸・海・空の乗り物特集が毎週あって、当時全日空に導入されたビッカース・バイカウント機などが紹介されていた。その頃の日本はまだ貧しく、子供にとって特急や飛行機の旅などは夢のまた夢の時代である。乗り物ファンの少年としては、テレビ画面に登場する日航のコンベアジェットや東海道線を疾駆するこだま型の電車を眺めては、早く大人になってあこがれの乗り物の客になりたいと夢を膨らませていたものだった。
さて飛鳥Ⅱの世界一周クルーズから早や2年経ち、日常生活に埋没するこのごろ、また乗り物に乗りたいという原初的な願望が頭をもたげてくる。ことに60歳すぎの再就職の職場は所詮ライン外の業務とあって、海外どころか国内出張もなく、飛行機や新幹線もここ一年余りとんとご無沙汰して寂しいものだ。職場と家を往復をするなかで、ふと上空を見やると飛行機雲が流れていて、矢も盾もたまらず旅行がしたくなってきた。という事で、この週末は妻と二人で飛行機で北海道へ飛び、苫小牧から福井県・敦賀まで新しいフェリーに乗船し、敦賀から北陸本線や東海道線の在来線を乗り継ぎ帰ってくる、という乗り物三昧の旅を実施した。 我が「陸と海と空」である。
で、土曜日の昼に羽田から千歳までJALのトリプル7、苫小牧から土曜日深夜にフェリーが出るまでは千歳のアウトレットでSHOP TILL YOU DROP! 買い物嫌いの私はショッピングになるといらいらして妻と喧嘩になるのだが、今回はフェリーの時間まで待つと覚悟を決め、普段ちょっと欲しかった自分のジャケットなどをゆっくり買うぞと気合を込めた。フェリーは新日本海フェリーの新造船”すずらん”、ジュニア・スイート(3食特別食付き)を奮発しゆったりと日曜日の夜に敦賀着。その晩は敦賀のビジネスホテルに泊まって、翌朝に気比の松原でジョギングを楽しんだ後は、彦根城を見学し在来線を可能な限り利用し帰京、という時間と金の大浪費作戦である。最後は少なくとも豊橋まで新快速を利用しようかと思ったが、さすがに運転士の真後ろのかぶりつき乗り詰めに疲れ、名古屋から新幹線を利用したのはちょっと残念ではあった。それにしても乗り物の”大人買い”の旅は、子供時代の夢を実現している感じがして面白いものである。
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