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2013年4月17日 (水)

そば屋

最近の会社はOA化によって事務の女性という職種がほとんどなくなって、若者たちはパソコンで伝票の作成や日々の総務的な仕事を自分でこなしている。「 ちょっとコピーとってきて 」などと女性に頼めない時代なのである。日々締め切りに追われ忙しく働く彼らと飲もうかとなるとスタートは早くて夕方の7時、普通は夜8時以降である。若者との飲み会はそれなりに楽しいのだが、何しろ部長でも私より10歳以上も年下、担当者にいたっては親子ほど年齢のギャップがある。当然、我が年代の共通の関心である年金・医療や健康・定年後の生活などと云う話題をとりあげても彼らには興味がないから、酒席でこちらがしゃべる事と言えば「昔は仕事はこうだった」と云う話になりがちで、これが自慢や説教調にならないか、「 いやなオヤジ !」といわれないかとけっこう気を使いつつしゃべる飲み会でもある。


という事で、珠には「オヤジ」らしい雰囲気にどっぷり浸りたいと思う時があって、先日は近所のそば屋に飲みに入ってみた。夕方6時過ぎだと云うのに、店内は焼酎の壜をテーブルにすでに酔っ払っているらしいカジュアルスポーツシャツの年配男性3人グループが一組。彼らの近くに陣取り、こちらもナスやら大根おろしなど定番のツマミでビールを飲んでいると、その3人組がますます賑やかだ。「あの支店長はこうだった」などと話しているから、どうやら銀行をはるか昔に退職したオヤジ達らしいが、アルコールがすでに廻っているらしく声も高らかで「あの娘可愛かったよな。本当は彼女は俺に気があったんだぜ」と若い頃の誰も検証できない自慢話が面白い。「 しかしその彼女も今やあんた達と同じ皺くちゃの老人だぜ 」などと横で密かに悪態つきつつ、これが定年オヤジ達の正しい飲み方だとこちらもなぜか楽しい気分になってきた。


彼らが早々に帰ると、次はどやどやと60台後半から70台の男性が大勢で入ってくる。どの顔も元サラリマーンとはちょっと顔つきが違うな、と観察しているとそのうちお互いを「先生」と呼び合っている。医者か弁護士かと思ったら話題は税金になって「最近の税務所は法律の前に人間の行為がある事をどう思っているのか」などと盛り上っているから、どうやら税理士の集まりのようだ。そういえばそば屋の近所のホテルで税理士会をやっていたからその流れなのだろう。この世界には老いてもきちんと年齢の序列がある様で、下っ端らしい(それでも60歳代後半か)男性が、年上に気を使っているのを見ると、独立の事業者は幾つになっても大変なものだと先ほどの屈託ない銀行OBと比較したりしてしまう。蕎麦屋の早い夕方はこれら老人達の飲み会で盛り上がっていて、こんな世界を垣間見るのも面白いし、我が近未来を見ている様な気もして大いに参考になったのであった。

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コメント

蕎麦屋、日本文化の原点ですね。今度行きましょう。

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