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2013年3月26日 (火)

キプロス

キプロスの経済危機でヨーロッパがまた揺れている。海運の世界では日常的に世界中の会社が船舶を融通(チャーター)し合っているが、その中にキプロス第2の都市であるリマゾール船籍の船が多数存在するので、キプロスという地名だけは私にも馴染みが深い。しかし東地中海に浮かぶ人口100万人にも満たないこの国の事を何も知っているわけでなく、キプロス船とはヨーロッパ船主の便宜地籍船か何らかの形でロシアと関連した船に違いない、というほどの知識しかなかった。


今回の危機でキプロスの事が日本でも報道されるにつけ、寡聞ながら私も初めてここがどんな所なのか分かってきた。それによるとこの国の税制を利用して1990年代からロシアを初めとする東欧の資金が流入、マネーロンダリングなどに利用されており、現実に多くのロシア人が住んでいるそうである。2004年にEUに加盟するも、国の北半分がトルコ系に対し南半分がギリシャ系となっている事もあり、先のギリシャ危機が飛び火したのだと云う。今回の危機回避のため10万ユーロ(1230万円)を超える預金を大幅にカットするという荒業がとられるが、これらの口座はほとんどロシア人のものだと報道されている。


これでロシアの資金が逃避した上、税制のてこ入れなどがもし試みられれば、今後キプロス船籍の船舶も減るのかなどと想像するが、それにつけても大陸の彼方の小国の経済破綻がユーロの信任に結びつき、ひいては円の相場にまで繋がるのには正直びっくりする。財政の規律は各国にかなり任されながら、ユーロという統一通貨を採用している為に為替を通じた経済調整ができないらしいが、こうなるとEUの壮大な大実験はもはや行き詰っているのではないかと危惧する。少なくとも国民性が違う北ヨーロッパと南ヨーロッパは別の通貨を使うなど、なにか抜本的な対策が講じられないと、小さな財政破綻がいつもユーロ危機、そして世界経済の混乱に結びつきそうで心配だ。

写真はダブリン港に入るリマゾール船籍のフェリー
20130326

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