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2013年2月 3日 (日)

スポーツ野蛮国

桜ノ宮高校に続き高校駅伝の名門校で体罰があったと報じられ、その他にも多くの人がこれまで運動部で体罰にあったと云うアンケートが発表されている。一般社会ではCSRだ、ガバナンスだ、コンプライアンスだとがんじがらめになっているのに、教育やスポーツの現場ではまだこんな事が行われていたのかと大いに驚く。私が学生時代に経験した運動部には幸い体罰の伝統はなかったが、試合会場で顔見知りの他校の部員が「夕べ下級生全員殴られた、もうこんな学校にはいたくない」などと顔を腫らして泣いているのを見て驚いた覚えがある。そもそも鉄拳指導は終戦で軍隊から帰ってきた兵隊によって広く行われる様になったそうで、戦後すでに70年近く経ているのに旧軍隊の悪弊が残っているとは、教育や体育の世界が世の中からいかに閉ざされ遅れているかが伺いしれるのである。


私などは心理テストを受けると「信念をもった厳格、頑固な父親タイプ、感情で動き、物事を楽しんで行う人を見ると腹をたててしまう事もある」という結果が出て笑ってしまう位だから、運動における厳しい指導の意味は十分わかるつもりだ。また理屈を超えた鍛錬が選手を大きく伸ばす事も事実なのだが、それを達成するのに暴力を使わなければならないとしたら、そんな運動は指導する価値も指導される価値もないと思っている。しかし今だに近所のグランドで行われる少年野球の練習などを見ていると、コーチと称される人達がエラーをした子供を口汚く罵っている場面に遭遇し、こういう指導がまかり通る所に今回の騒動を許す下地があるのだろうと感じるのである。


どうやら報道されているのは氷山の一角で、全国にはいつ自分の事が表沙汰になるのかと戦々恐々としている教師やコーチが多数いるのだろうと想像が付くが、世界の国々でこんな騒動は聞いた事がないから、スポーツの指導で暴力が許されているのは日本独特のやり方に違いない。オリンピックを再び東京に招致しようとしている現在、肝心のスポーツの指導で暴力がはびこっているとすれば世界の笑いものになりかねず、文明国として恥ずかしい限りである。これを機に暴力の一掃は云うまでもなく、校名宣伝のために勝利至上主義に陥っている学校スポーツのあり方などを考え、スポーツの持つ自主性や楽しみをより評価する動きが強まれば良いと私は考えている。

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