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2013年1月 6日 (日)

ふしぎなキリスト教

お正月休みにはいつもあまり読まないジャンルの本を読もうと思い、書店のコーナーで講談社現代新書「ふしぎなキリスト教」(橋爪大三郎・大澤真幸著)を手にした。この本「新書大賞2012 第1位 30万部」だそうで、「起源からイエスの謎、近代社会への影響まですべての疑問の答える最強の入門書」との帯書きに惹かれたのである。なにしろ私は冠婚葬祭以外に宗教にはほとんど関わりがないし、卒業した学校は「独立自尊」を説く学校だったから、キリスト教などとはこれまで縁遠い生活である。それでも八百萬のアニミズムと神仏混淆のシンクレティズムの日本に住んでいると、西欧文明の基礎となったキリスト教や一神教とは何なのかという興味は常々持っているので、正月休みは結構ボリュームのあるこの新書本をじっくり読んでみた。


「ふしぎなキリスト教」は、二人の気鋭の社会学者による「一神教を理解する」「イエスキリストとはなにか」「いかに西洋をつくったか」のテーマ毎対談を纏めたもので、深く掘り下げると云うより普通の人にもわかり易い事例などを挙げて広く大胆にキリスト教を解説した本である。流浪の民として過酷なユダヤ人社会から一神教が生まれる過程、ユダヤ教からどの様にキリスト教が出現したのか、同じ一神教であるイスラム教とは何が違うかなど、これまで疑問に思ってきた事が説明されている。しかし読むにつけ一神教の特異性がわかり、神と人間の人間の関わり方など、我々にはなかなか想像が及ばぬ世界である事を思い知らされたのも事実。何と言っても周囲を海で隔てられて侵略とは無縁だった日本人の環境では、過酷な状況に於かれた民族から生まれる一神教の偶像崇拝禁止などの考えがなかなか理解できないのではなかろうか。


同じ一神教のイスラムの世界が、中世までは科学・技術・哲学に優れていたのに、西欧キリスト教文明がなぜ追い越したのかについての説明では、イスラムが宗教としては完成されているため却って宗教に拠拠しすぎた等、「なるほど」と感じる点も多く大変な力作なのだろうが、根をつめて読んだ割には結局私の様なベース知識ゼロの人間には「それぞれの箇所はわかるけど、全体としてはなんだかわかった様な、わからない様な」と云うのが率直な感想であった。また対談形式をとったが故に、切り口がワイドでかつ平易な一方、宗教の背景にある何らかの「肝」の様なもの、社会を貫く通奏低音の様な基礎に今一つ到達できないもどかしさも感じたのだった。たった一冊の本でキリスト教の事がわかる筈もないが、とにかく西欧文明の底流にあるキリスト教の考えの一旦に触れた事で、この正月休みは良しとするかと云ったところである。
20130106_2

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

面白そうですね、今度読んでみます。

MTさん

ヨーロッパに長く居たMTさんならきっとより深く本の内容に理解と共感が多いと思います。ご一読あれ。

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