総選挙の論点
いよいよ総選挙である。ここ数年の拙い政治から逃れる事ができると思うと、誰に投票しようか考えも真剣になる。TPPの参加や原発の維持・消費税アップなどはそもそも論点にならない自明の事で、別の視点、対中国・対米国で日本の立ち位置をどう考えるかもこの選挙の争点だと認識する。すなわち米ソ対立のかげで驚異的な経済成長を遂げた日本も冷戦が終わって20余年、急成長する隣国の中国と今後どう付き合っていくかが問題で、それによってTPPや各種自由貿易協定への参加の仕方もおのずと変わってくる。それゆえ外交や中国問題は経済発展に密接に結びついており、ひいては国の財政や税金にも関わってくると思うのである。
「敵を知らずして勝利なし」と云う事で、私もこの半年ばかり中国関係の本を積極的に読んできたが、読売新聞の書評で茅原郁生/美根慶樹著「21世紀の中国 軍事外交編」”軍事大国化する中国の現状と戦略”(朝日新聞出版)の評判が良かったので早速購読してみた。それによると周辺諸国と摩擦を繰り返す中国の「力への信望」は、清朝末期にアヘン戦争に敗れて半植民地化した苦い経験に根ざし、軍事力を頼みとする考えが民族に敷衍されているそうだ。一方で台湾統一という中国の宿願が果たされないなど彼らの権益に対する大きな妨げとなるのが米国の存在で、この存在感を削ぐ事が中国の軍事力を突出させる原因だと云う。また中国は海洋進出に遅れたと認識して、海洋権益の擁護に猛然と取り組み周辺諸国と摩擦を繰り返すしていると書かれている。
この本によると中国は軍事に関連して宇宙開発の分野においても、着々と独自の存在を示そうとしているそうで、そうなると中華思想を持った巨大な覇権国家がわが国の隣に誕生する事になる。先年、ハワイを基点に太平洋の東をアメリカが管理、西を中国が管理しようと中国の高官がアメリカに持ちかけたと言われているが、それはけっこう中国の本音である事に私は慄然とする。しかしこれほどまでに中国の存在感が突出すれば、遠からず米中の角逐がより高まり、米中冷戦時代とも云える状況になるかもしれない。その時には地理的に中国に近い日本は、再び米戦略の一貫として中国を封じ込める不沈空母の役割が出てくるだろう。日本の外交は対中国戦略上で大きな曲がりかどを迎えているはずで、アメリカと真剣に対話ができる政党にこの選挙では期待したくなる。多くの政党がそれぞれの主張をしているが、そんな事を考えながら候補者や政党を絞っている。
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