総選挙の論点
この時期になると、多くのアメリカの取引先や代理店が表敬訪問に来る。寒すぎず暑すぎずの季節だし、感謝祭が終わるとクリスマス・シーズンという事で何となく落ち着かなくなるから、10月末~11月始めなどが絶好の訪日の機会なのだろう。彼らとマーケットの現状やら今後の貿易に関する話しをする中で、「TPPに参加するか否かが来年の日本では大きな問題になりそうだ」と発言すると、一様にアメリカ人は「何だそれ?」と聞いてくる。「トランス・パシフィック・パートナーシップ」と言って、アメリカを中心として関税の撤廃や貿易に関するバリアーを低くする協定で、日本ではこれへの参加が大きな論争になっていると説明するが、彼らは「帰ったら調べてみる」という事でノートにメモをしており、この問題はアメリカではほとんど知られていない事がわかる。
民主党の野田首相は今の政権のうちにTPPへの交渉参加を表明し、これに慎重な自民党や多くの党との違いを来るべき総選挙で強調する作戦に出るとここ数日報道が告げている。これはなかなかうまい点をついて総選挙の論点を造るものだとちょっと感心していたら、党内の参加反対論者からはそんな事をしたらまた多くの離党者が出ると突き上げを食っているらしい。政権の最末期にいたるまで空想的理念主義者ばかりで何もできない民主党の中にあって、野田首相は珍しく現実的かつ保守・自由主義的なので比較的好感を持って見ていたのだが、最後の最後になってもこの有様で、党の綱領もない選挙互助会の様な組織の限界を示しつつ民主党政権は幕引きの時を迎える様だ。
さて、来るべき総選挙ではTPP問題に象徴される様に、もっぱら農業団体など既得権にしがみつき保護行政によりかかる勢力と、経済の自由化や構造改革を推進する側の対決が大きな争点になりそうで、今後の日本がどの方向に向かうのかを決める事になるのではないか。ここでずるずると国が衰退していくのか、「あの時代に大改革して良かった」と後の世代から言われるのかの境目の選挙で、さてどの政党に投票したら良いのか悩ましいところである。これまでTPP参加に賛成を表明をしたのは、みんなの党と橋下新党くらいだが、時流に乗っただけの新しい政党が力を持つと、まったくろくな事はないと云うのが民主党の3年半で身に沁みるほど解ってしまった。で、今回の投票は自民党にまた復帰したいと思うのだが、結局のところ農業団体などの票を気にしてTPPに躊躇しているこの政党を見ていると応援する気も失せてくる。という事で、これから投票までが思案のしどころである。
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この3年、ブチョーに嫌みを言われ続けました。次の選挙では正しい選択をしたいです!
投稿: いいね! Y | 2012年11月10日 (土) 21時25分
いいね!Yさん
貴重な一票です。おたがい次回は良~く考えて投票しましょう。
投稿: バルクキャリアー | 2012年11月11日 (日) 00時11分