花マルB級グルメ
日本橋で用事を済ませ、さて昼飯にしようかと一人で中央通りを一筋ばかり入った八重洲仲通りをブラブラ歩く。こんな時によく利用するのが立ち食いそばである。食べ物にはこだわりがないので、どんな評判の店でも、待って食べるくらいなら、無名でも空いている店の方が気持ち良いし、入ったら注文した食事がすぐ出てくる店が尚よいと思う。評判と言っても相手もプロだから、旨いといわれる店とそうじゃない店の差など相対的なものだと割り切る事にしていて、近年ますます待つのが嫌だという気持ちが強くなってくるのは歳のせいに違いない。会社の昼休みに大勢で連れ立って、テーブルの空くのを待ったりするのが面倒でたまらない時などは、立ち食いそばは絶好の昼食である。
という事で立ち食いそばファンであるから、この日もそこら辺の立ち食いそばで昼めしを喰うかと思っていたら、ふと目についたのが「よもだそば」である。以前はここにそば屋はなかったはずで、最近開店したのだろうか。立ち食いそばといえば、本当はちょっと裏びれた横丁で、キャッシュと引き換えた手が、どんぶりのふちから汁につきそうになったオヤジが 「ヘイ、オマチー」 などと出す店が、いかにも それらしいという感じがするのだが、ここは自販機で切符を買う方式で小ぎれい、まあ人手の多い東京の繁華街の店ならこれも当然という処だろう。で、自販機の「たぬきそば」のボタンを押そうとすると値段が290円とあって、このあたりの大手チェーン店より40円くらい安いのにちょっとびっくりする。
なにやらガヤガヤと賑やかな厨房から出された「たぬきそば」、味などいつも気にしないから例によって七味をドバッとふり掛けズルズルとそばをすすった処、これが思わず”ウン?”とうなる味である。鰹などからとったのだろうか、東京では珍しい僅かに甘めの汁はコクがあって味が深い。そのくせ関西風ではなくベースは醤油味の東京スタイルのところがちょっと粋である。立ち食いそばのくせにこんな幽玄な味がしてよいのだろうかと思い、帰宅して調べたところお店の主人は愛媛県出身で、「よもだ」とは伊予弁で「しょうがねえ」という意味だそうである。大量の七味と熱い汁で頭皮から汗が出て、それまでボーっとしていた頭がしゃきっとする上、味も大満足の久方のB級グルメ花マルであった。また日本橋に来たら寄ってみたいものである。
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