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2012年10月22日 (月)

親中だとこうなるのか

親中国派の「尖閣」における論点を知りたくなって、テレビなどに出演の多い外務省出身の反米派、孫崎亨の講談社現代新書「不愉快な現実」をこの週末に読んだ。孫崎氏は縷々現在の日本のおかれた状況を説明した上で、日本の国益の為に尖閣は中国に妥協し、当面問題を棚上げ(何もしない事に戻す)する事を提唱しているが、どうもこの本は中国に寄り添いたいばかりに、多数の文献や資料から自分に都合の良い箇所を引用した牽強付会の書にみえ、日本の国益を説きながらその実、媚中の本心が透けて見える様な本だと思った。


孫崎氏の論拠は、①中国は経済・軍事で米国と肩を並べる超大国になる → ②米国はアジアで中国を最も大事な国と位置づける → ③経済・軍事で米中が接近する中で米国が日本を守って尖閣紛争に介入する事はない → ④よって日本は紛争が拡大するのを防ぐために中国の言う事を理解し、中国を中心とした東アジアの依存関係を強めるべし、という事である。私も①から②にかけては彼の意見にうなづくのだが、③については「尖閣は日米安全保障の適用」という米国の幾度もの公式見解をみても、あるいは国務省のケビン・メイ氏が、同盟国を見捨てた場合にアメリカ軍は世界展開する意義を喪失する、よって日本を見捨てる事はありえないと発言している事(「決断できない日本」文春文庫)からも、孫崎氏の意見は独断かつ皮相的すぎると感じるのである。


孫崎氏は中国側の論拠を紹介した上で、田中角栄総理と周恩来首相がかつて交わした、尖閣「棚上げ」論を日本が一方的に破ったのが尖閣問題の発端であるかのごとき説明を展開するのだが、そもそも今回の騒動は中国漁船が海上保安庁の船に体当たりした事件や、香港や台湾の活動家が永年挑発しつづけた事がきっかけで、その発端は中国側にある点に対して氏は触れていない。これまで中国は日本から多額のODAを受けながら国是として反日教育を行い、靖国参拝問題はじめ、ありもしない”南京大虐殺”問題をデッチ上げるなど、日本人をほとほと辟易させてきた事が、今回、日本人が怒った背景にあるのだが、その点を孫崎氏は一切触れずに、ただ中国人の考えを忖度せよと述べても到底日本人の理解や共感は得られないであろう。


同書の中で孫崎氏は中国の成長を肯定的に捉える一方、日本のさまざまな停滞はBIS規制を始めとするアメリカの術中だとする「お約束」の論調を展開するが、先の東京IMF・世銀総会で日本のメガバンクが再び評価された事や、中国初の中古空母が張子の虎であった事、米国の内部資料が日本の主張を裏づけするなど氏に都合の悪い点もその後に次々明らかになっている。この本は、やはり事態の一面しか捉えていない、中国側から見た尖閣感であろう、と言うのが「不愉快な現実」の読後感である。


中国の台頭はゆるぎない事実だし、アメリカのアジア政策も中国に影響される点は氏の持論通りだと同意するが、私の考えはそういう事態であるからこそ、東アジア共同体などと中国に歩み寄るのは真っ平ゴメンだ、という事にいきつく。極論すれば地政学的にも文化的にも、日本は中国の属国になる位ならアメリカの属国になった方がまだ”まし”だという事で、その為には日米同盟をより強固かつ安定的なものにして、米国と中国の接近にクサビを打つ事が必要だと私は考えている。もし米国や中国のどちらの属国になるのも嫌だというならば、たとえ経済的に貧しくなろうと、自主防衛戦略で核を保有するも清貧な国であろうとする覚悟が必要なのではないだろうか。
20121022

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コメント

孫崎氏ではなかったと思いますが、先日テレビ朝日の報道ステーションに出てたコメンテーターも似たようなことを言ってました。

そういえば、こないだ靖国神社に行った時、娘がソフトクリームを食べたいと言うので売店に入ったら、あまりにディープな空間だったので一瞬たじろぎました。

いいね!Yさん

コメントありがとうございます。戦後67年を顧みれば、もしどちらにつくかとすればアメリカに決まっているでしょう。約束通り領土を返還した国と、盗人の様な東アジアの国々と。

60年安保反対と叫んだ人達はすべて消えさっていきました。

反米と叫べば、何か意味のある様に考える愚かな事はやめたいものです。

現実を見れば日米安保に依っていくのか、憲法改正して自主独立するのか、選択は2つで東アジアの共同体などは絵空事だと私は確信しています。

シナ朝鮮が子供染みた挑発を繰り返すから仕方なく自衛隊・海保を拡充する、ぐらいのズルさがわが国政府にも欲しいものです。
現状でも我軍は単独でも滅法強い防衛力を持ってて、シナや朝鮮軍に侵略を許すレベルではないこと、あまり知られていませんが。

Kさん

コメントありがとうございます。この本は2020年に”数の上”では中国の軍隊が自衛隊を圧倒する事を前提に書かれていますが、その中身や錬度には触れていません。中国の空母がガスタービンをはずされ通常のディーゼル推進である事、着艦フックがない事など「張子の虎」である点に触れておりません。いささか中国軍を過大評価であろう、という気がします。
著者はなんでもルーピー鳩山のブレーンとかで、さもありなんというのが読後の感想です。

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