飛鳥Ⅱの夏休み・クルーズ船の旗流信号編
クルーズ客船に乗船すると食事や寄港地、船内の行事などを堪能する他に、せっかくの船上生活なのだから普段経験できない船舶運航の事などもちょっと知りたいものである。という訳で手っ取り早く、日本で客船に乗船した時に見る事ができるマストに掲げる旗流信号の例などをアップしてみた。
まずは赤と白のH旗で示すパイロット・オン・ボード(パイロット乗船中)で、これは結構皆に知られている旗だろう。
赤いB旗は危険物搭載を意味し、クルーズ船では普通バンカー(燃料油)給油中という事を示している。赤い旗がマストに揚がったら、燃料取り入れ口近くやデッキでタバコを吸う事ができないから注意である。
P旗は間もなく出港・総員帰船で、クルーズ船の場合はその日のうちに出港する場合に掲揚される。
黄色のQ旗は本船の乗員・乗客が健康で無事検疫済であるという意味で、ふつう入国手続き中に挙げられているようである。
上記とは別に指定された航路や港湾で掲げられる旗もあり、例えば横浜港大桟橋に着桟する場合は第2代表旗+O旗+S旗を並べて掲揚する。
日の丸を流しの様にした旗は数字旗の1で、本船が500総トン以上(500トン以下はよけよ)という事を意味しているし、
U+W旗は良く知られる様に「ご安航をお祈りします」、これに数字の1を加えると「ありがとう、行ってきます」となって、ロングクルーズの出港の際などに良く見られる光景である。
また飛鳥Ⅱなど全長200米を超える「巨大船」は、国内の水道や航路で様々な規制を受ける他、指定された場所では昼間は黒い円筒の様な形象物を、夜間にはメインマストに緑色の旋廻灯を点灯しなければならない。飛鳥Ⅱの最上部スカイデッキに出ると、メインマストに昼は黒いかご状のものを、夜はクルクル廻る緑色の光を見る事があるのでそんなものを探すのも面白い。
夜間ふと真っ暗な海を見ると、緑や赤の灯火を掲げた船が音もなく近くを通り過ぎていく事がある。緑灯は右舷(スターボード)赤灯は左舷(ポートサイド)を示すが、「ポートワインは赤」と憶えれば、夜の闇でも赤灯を点灯して走る他船は、ポートサイド(左舷)を見せている事がすぐ分かる様になっている。飛行機の場合も乗降口がある側は左でポートサイド、翼端灯も左が赤で右が緑と云うことで、空の用語は海由来のものが多いそうである。漆黒の海に目をこらしながら、航海灯や様々な灯火をもとに「あの船はどちらに向かって走っているのだろう」などと想像するのもロマンチックなものである。
写真は小松島を出港して関門海峡を通過する飛鳥Ⅱのメインマスト。パイロット乗船中のH旗、巨大船を示す円筒形象物と、”関門を西口の六連島東方に向かって航行し関門港を通過する船舶”が掲揚しなければならない「第1代表旗、W旗、M旗」を掲揚している
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はじめまして。
いつも楽しく見学しています。
先日奥様のHPにもおじゃましました。
飛鳥2に乗ってみたくなり、先日初めてワンナイトに乗船しました。
その際、先行していた知人を迎えるために旗を振ろうと思いたち、紅白の旗を準備して、迎える気満々で向かったところ、別の友人から全力で制止されました。
旗には意味があるのですね~。
手に入るかどうか解りませんが、次回はU+W旗?で行こうと思います。
投稿: かっくん | 2012年9月12日 (水) 10時14分
かっくんさん。
コメントありがとうございます。クルーズの楽しみは色々あると思いますが、こんな旗の信号などを覚えておくと、楽しみの幅も広がるのではないでしょうか。
U+W旗は万能ですので、クルーズの際に試してみたら楽しいと思います。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2012年9月12日 (水) 22時57分