飛鳥Ⅱの夏休み・フィッシュカツ編
徳島名物フィッシュカツである。徳島駅でレンタカーを返し小松島に停泊中の”飛鳥Ⅱ”に戻るべく列車を待つ間、駅前の惣菜屋さんをひやかしひやかし歩いていると、土産ものなどに混じって 「名物フィッシュカツ」 と看板がある。見るとハムカツのような形状でもあり、コロッケを薄くした様でもある黄金色に輝く揚げ物 ”フィッシュカツ”が、店頭にテンコ盛りにおかれている。売り場のおばちゃんが 「 おいしいよ、1枚120円、2枚で220円、3枚なら300円 」と叫ぶとおり、値段は微妙に購買意欲をくすぐる設定。「名物に旨い物なし」とふだんは買い物やみやげ物には興味がないのだが、B級グルメには食指が動いてしまいどうもいけません。いかにもチープな名前と絶妙の値段設定に 「これ3枚買おう!」と即座に財布を出してしまう私であった。あな徳島商人おそるべし。
といっても、さきほど鳴門海峡近くの飯屋で豪華海鮮お膳を、二人でしたたかに食べてきたばかりである。「 まだ、食べられないよ~」と言う妻に、「 飛鳥に持ち帰って冷蔵庫に入れとけばいいさ、船内の夕食は2回目で午後8時近いんだから、あした夕方に小腹がすいたらビールのつまみに食べようぜい、」とお金を払おうした刹那ふと気がつく事がある。「おばちゃん、これ持ち帰りなんだけど、ソースはどうすればよいの?」「心配いらないよ、味がついているからソースはつけなくて大丈夫!」「あ、そーすか!!」などと、オバちゃんの徳島弁につられてオヤジギャグが滑らかに出したのは町中のお祭り気分が伝染したのだろうか。 という事で、フィッシュカツ3枚をビニール袋につめ、徳島からローカル線に揺られ小松島の”飛鳥Ⅱ”にようよう帰船したのであった。
その夜の”飛鳥連” 阿波踊り込みに繰り出し、慣れぬ振り付けに足腰も痛かった翌日は、幸いなるかな終日航海日である。四国の沖を一日クルーズし関門海峡の通過風景も楽しんだ後、飛鳥Ⅱが玄界灘を釜山に向かう頃は夕日も傾き、お待ちかね部屋のベランダに出てのビアタイムである。波の音を聞きつつ潮風に吹かれながら、冷蔵庫に保存していたフィッシュカツをつまむと、徳島のおばちゃんの言う通り中身はほのかなカレー味と塩コショウで味付けされて得も言われぬほどよい食感、ついビールも進んでたまりまシェーん。3枚のフィッシュカツはあっという間にビールと共にわが胃袋に吸い込まれていき、”飛鳥Ⅱ”のゴージャスな雰囲気と、洋上で楽しむチープな味のコントラストは、今回のクルーズの記憶として私の心に深く刻み込まれたのであった。魚の身をミンチし香辛料で味付けして揚げただけのシンプルな食べ物だが、妻の分も食べてしまい顰蹙をかうほどうまかったのだった。
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