あれから一年
飛鳥Ⅱは2011年の7月3日にハワイ島のヒロに入港し、翌4日はマウイ島の沖をクルーズした後、独立記念日に湧くオアフ島ホノルルに入港した。我々はヒロでは午前中に港から町まで約1時間ジョギング、午後はオプショナルツアーの「ハワイ島滝めぐり」に参加して、ワールドクルーズ最後の寄港地ハワイをゆっくり楽しんだ。ホノルルでは、船が一旦オアフ島の東北海岸に近寄ってから、コースタルにホノルル港にアプローチしたから、「あれがハナウマ湾だ!」「あれがハワイアン・オープンが開かれるゴルフ場か?」「あれがダイアモンドヘッドだ」などと、友人たちとデッキではしゃいだのも良い思い出だ。そういえば本船の薄味な健康食にも飽きて、ホノルルでは「牛角」のチープな焼肉を食べに行った事が懐かしい。
ホノルル港アロハタワーの前のピア10に着桟した飛鳥Ⅱからは、独立記念日に打ち上げられるワイキキの花火がみえるだろうかと心配していたが、本船の大浴場を出てデッキで涼んでいると、思ったより近くで豪華な花火を眺める事ができ、あたかも日本の温泉がここに移動してきたのかと錯覚するばかりであった。あの頃になると船内でなじみの顔も増え、クルーズ生活もすっかり板についてきたが、一方気の早い乗客の中からそろそろ帰り支度の準備だとか、パッキングはどうしようなどという会話も聞こえて、現実に戻りたくない我々は、耳をふさいで最後の最後までパッキングをしなかったのだった。飛鳥Ⅱがホノルル港を出る直前には、アロハタワーに上がり、目の前に接岸している飛鳥Ⅱの全貌を目に焼きつけ、「次に本船を外から見るのは、日本で下船する時か」とひどく感傷的になった事が昨日のようだ。
そういえば、あの頃は帰国後に今の会社に勤める事が決まっていたから、船上生活のすっかり緩みきった心身で、果たして一社員として会社勤めに戻れるのか、日本が近づくにつれ段々不安になったものだった。あれから1年近く過ぎ、何とか会社員生活を続けているなか、朝の通勤電車に乗った時などには、あのクルーズの日々は夢だったかとほっぺたをつねりたい気持ちに襲われる。それとともに現実生活にアジャストして、なんとか仕事を一年続けている事にちょっと自信もつき、何より中高年でありながら働く先があると云う僥倖に感謝するのである。それにしても一年が経過するのは早いもので、来年の今頃は何を考えているのだろうか。将来、もしチャンスがあったらまた世界一周にいきたいものだと、日々ルーティンワークをこなしながら、かなわぬ夢を見るのである。
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