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2012年7月 7日 (土)

学習しない産業?

1985年夏の暑い朝、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した事を大きく報じる新聞一面の片隅に、三光汽船倒産の記事が掲載された。当時、負債総額が5000億円を超える戦後最大の倒産と云われたが、ジャンボ機事故のニュースに隠れてあまり大きな話題にならなかったのである。三光汽船は自民党の派閥領袖である河本敏夫がオーナーで、運輸省の業界集約の指導にも応じない一匹オオカミとして世界最大規模の船隊を誇っていたが、長らく続いた海運不況によってついに会社更生法を申請したのであった。


その頃の三光汽船といえば河本氏の政治活動の資金源と云われ、同社によるジャパンライン株買占め事件では、大物フィクサー児玉誉士夫が暗躍したとされるなど、何かと話題の多い会社で、業界の暴れん坊という評判であった。社員も日本の会社と思えないユニークな人材にあふれていて、倒産した後に海運や貿易業界に流出した社員は「exサンコー」と呼ばれて、フツーのサラリーマンとは一味違った雰囲気を醸し出していたものだった。


その三光汽船が会社更生法で立ち直ってから14年余り、再び会社更生法を申請すると云うニュースが報じられている。新生なった三光汽船は以前と違い堅実に経営されているものと思っていたところ、実は短期で勝負するスポットビジネスが中心だったらしく、最近の不況で経営が再び悪化し2回目の会社更正法申請だと云う。2001年から社長だったM氏とは海外での会議に一緒に出席した事があって、温厚・堅実な人柄だと思っていたから、今回の経営破綻に驚くと共に、ここに至る過程でその心中はいかばかりであったかと推察する。


考えてみれば、海運各社が史上最高益を計上して浮かれていたのは僅か4年前の事で、中国の次にはインド経済が高度成長を続けるので、当分不況は来ないと云われていたのである。ところがその需要を取り込む様に中国のあちこちで造船所が出来、あっと言う間に船舶の供給過剰となって、今年が新造船のピークであると云われている。欧州はおりしもユーロ危機を迎え、中国を中心とした海上輸送も以前の勢いがない。本当に天国から地獄へと逆落としに合うのが設備産業の辛いところで、こんな事を10年くらいで繰り返しているのである。三光汽船の2度目の会社更生法申請で、世間から海運は「学習しない産業の代表」とまた云われるのだろうか。

林立する上海近辺の造船所のクレーン
20120707

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コメント

はじめまして。客船大好きなひろしげです。奥様のブログを拝見させていただいているのですがコメントの仕方がわからず旦那様のブログでコメントして誠にすいません。自分は29才で妻と二人暮らしでして、二人で去年飛鳥2を名古屋港に見に行ってからすっかりハマってしまい今年はレジェンドオブザシーズを見に行きまして、いつかクルーズの旅に行きたいと憧れているのですがお金もなくいつも奥様のブログを見て楽しんでおります。特に視点が旅行というより船なので着岸のワッチのあたりはゾクゾクしながら読んでいます。お忙しい中なのでなかなか難しいかもしれませんが飛鳥のワールドクルーズ、更新されることを楽しみに待っております。

ひろしげさん

妻の航海記と当ブログに訪問いただきありがとうございます。乗船客の年齢が高い日本船ですが、ひろしげさんの様な若い世代に乗っていただきたいと思います。その点レジェンドは雰囲気的にも楽しいのでお勧めですね。妻は乗り物好きなので、操船とか離着岸に興味津津でしばしば船内を駆けずり回って行方不明になるので困っています。

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