アマデアについて
飛鳥Ⅱのクルーズから帰国してそろそろ一年、妻のホームページ作成がやっと「初代飛鳥で航くキール運河2泊の旅」の”アマデア”の項にたどり着いた。ホームページを作るために、我が家に散乱している当時の資料の中から、最近は”アマデア”のデッキプランや写真が見つかって、私も懐かしくそれらをみつめる。しかし初代”飛鳥”を改めて見てみると、このフネはハウスから舳先に至る前部甲板の乾舷が高すぎて、妙に前につんのめった船型なのが気にかかる。また普通は客船のファンネルは船首方向に向かって流線型の勾配を描くのに対して、郵船グループのクルーズ船の特徴で、初代”飛鳥”は船首方向に向かってファンネルが屹立し、船尾に向かってスロープを描いているのが奇異である。電車でいえば新幹線など流線型の車両と逆に、前面妻面のおでこの部分が前に出て腰板が引っ込んでる様なもので、乗り物のデザインとしていかがなものかと感じるのである。
そういえば、小さい頃から陸海空を問わず乗り物の絵を書くのが好きで、客船のデザイン画などを何も判らないまま描いていた。図面は高校生の頃にノートに落書した客船の絵なのだが、あの頃は「クルーズ」と云う言葉もなかったから、たぶん米国のプレジデント・ラインの貨客船や阪神・別府航路の観光船などをヒントに「こんなフネがあったらいいな」と空想しながら描いたものだろう。プロビジョン用クレーンや貨客船名残りのデリックなどがあるのがご愛嬌で、図面の脇には太平洋定期航路に就航する13000トン型客船で速力25ノットと当時の憧れがメモされていて懐かしい。設備は大・小2つのプールに子供用プール、ゴルフレンジ、1週300米のプロムナードデッキ、フィットネス、大浴場+サウナ、サンルーム、劇場、散髪、図書館など完備とある。
そんなシップマニアの目で”アマデア”(初代飛鳥)を見ると、このフネはそれなりに金をかけて良くできたクルーズ船である事が判るし、チーク張りで船型に比べて広々として全通するプロムナードデッキはとても魅力的でもある。願わくばプロムナードデッキは7階から6階へ下げれば腰高の船型がすっきりしただろうし、公室は5階に集中できなかったものかとちょっと残念な気持ちである。また本船の公室がエレベーターや階段を中心に縦系統の動線に展開するのが設計思想なのだろうが、ダグラス・ワード氏がかつてどこかで批評していた様に、動線は同じデッキの横方向とした方がより便利であったろう。日本船クルーズの黎明期かつ様々な制約の下での設計であろうが、鉄道ファンが妄想で勝手なダイヤの豪華列車を走らせる様に、「ここがこうなったら」とか「こんなクルーズ船があったら」とか考えるのは楽しいものである。
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