プリンセスクルーズ(カーニバル)日本進出
業界誌によるとプリンセスクルーズは2013年のゴールデンウイークから約3ヶ月間、”サン・プリンセス”(7万7千トン、95年建造)を神戸・横浜基点に日本市場向けクルーズに貼り付け配船すると決めたと云う。親会社であるカーニバル社(アメリカ)は日本に現地法人を設立し、国内港でのオーバーナイトも含め9泊~11泊のクルーズを9航海実施するというから、いよいよ国内クルーズに巨大資本が本格的に乗り込んでくる事になる。
これまでも、クルーズ業界のもう一方の雄であるロイヤル・カリビアン社(アメリカ)が”レジェンド・オブ・ザ・シーズ”(7万トン95年建造)で日本市場をうかがう配船をしてきたものの、昨年は原発騒ぎでさっさと日本寄航を取りやめるなど、市場開拓にあまり本気とは思えなかっただけに、クルーズファンとしてはこのニュースは吉報といえよう。”サン・プリンセス”といえばプレミアムクラスとしてランクされる中型船で乗客2000人、今回は日本船を相当下回る価格設定で乗り込んで来るに違いない。
私は”サン・プリンセス”に乗船した事はないが、本によるとこの船は設備的には「ウッディな雰囲気」「磨き上げられた真鍮が高級感を醸し出す」(クルーズシップコレクション2010・2011)とあり、ダグラス・ワードのベルリッツ本では得点1489で、いわゆるプレミアム船の中ではやや下位に位置している。しかし"There is a wide, teakwood wrap-round promenade dech outdoors"とベルリッツにあるから、新しいプリンセス船のチープなウッドデッキ調の合板と違って、きっと良き時代の内装が施されているはずで、設備だけならば日本で最高級の飛鳥Ⅱ(5万トン 90年建造)に優るとも劣る事はないだろう。また日本での本格的営業展開となれば日本語対応など相当の準備をしてくるに違いなく、この進出は日本のマーケットに風穴をあけるどころか、わが国のクルーズブームの起爆剤になるかもしれない。
さて世界のクルーズ人口が伸びる中で、クルーズ先進国の巨大資本はアジア市場進出をもくろんでいるが、アジアクルーズといえばこれまでは主に中国人の買い物や博打客などが目当てで、日本人としては残念に思ってきた。振り返れば1990年前後「クルーズ元年」と銘打って市場に乗り出した日本のクルーズ会社は、その後大きな変化もなく、最近はまったく音無しの構えで新造船の話題も聞こえてこない。一方お隣の韓国では民族系のクルーズ会社が設立されるなど、”日本以外”の世界各国ではクルーズ人気が盛り上がっているというのに、一体全体わが国のこの停滞は何なのだろう。優美で長い海岸線、特徴に富んだ寄港地など観光資源としては充分な魅力をわが国は備えており、日本定点クルーズを行ったら日本人だけでなく、豪州やアジアの人々を巻き込んでクルーズ人気が盛り上げると思うのである。プリンセス(カーニバル)の上陸で節目が変わるかもしれないと、その配船に注目である。
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