幸福の確率
マグニチュード7以上の首都直下型地震が近々起こる確率は70%と東大の研究者が発表して驚いたら、今度は京大からそれは28%だと云う計算が出されて、データと云うものは前提や計算のやり方に依っていかようにも変わるという事を改めて思い起こさせてくれる。地下鉄の駅構内で無料で配布されてる冊子”R25”の中で石田衣良と云う作家が書いているコラム「空は、今日も、青いのか?」の134回目は「幸福の確率」と題して、世に溢れる様々な統計数字の事が軽妙に書かれており面白かった。
いわく(地震の発生確率などは)「手ごたえがないにもかかわらず、やっぱり人を不安にさせる力が、数字のもつ悪しきマジックだ。」(病気の余命告知は)「生存率が50%とは、いったいどういう意味だろう。ぼくたちの命はみなひとつきりで、半分生きて半分死ぬことなどできない」と日ごろ私たちが”おやっ?”と思うことを率直に著している。私も新聞で「死亡率が20%減った」などと読む度に、人間は全員等しく死ぬのに「死亡率が減った」とはどういう意味だろうかとか、ごく稀に発生する事故や病気にたまたま遭った人は、現実には「遭ったか遭わなかった」のオール・オア・ナッシングで100対0だよな、と数字の持つ意味を考えたりする。
その点では世界一の長寿国なのに、メタボ健診など数値を年々厳しくして病人を増やす健康診断や、地球温暖化を示す様々な指標などは、医療やCO2売買で金儲けを企むその業界の影が見える様で、本当のところはどうなのかを知りたいと云う欲求に駆られるのである。コラム「幸福の確率」は、「数字などに踊らされずに、自分の実感をもって生きる。」「人と自分をくらべない。世の平均と自分をくらべない。ついでに、気のきいた確率は眉につばをつけて、軽く耳にはさむくらいにしておく。ぼくたちの人生には1パーセントの幸福などない。それを決めるのは、数式でも平均でもなく、きみ自身である。」と妙に納得させられる言葉で締めくくられている。
このコラムを一読して、無料の冊子などと侮ることなかれ、といたく感心したのであるが、それでも「血圧が高いかな」と無闇に何度も測ったり、「禁酒日を設けなきゃ」と却ってストレスを溜めては、「自分の事になると違うんだよね」と反省するあたり、数字に踊らされているのが自分の日常なのだと苦笑いをしてしまうのだ。
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