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2012年2月17日 (金)

反エストッペル

会社で20歳代の若い人達と海運の契約について勉強会を開いている。英国法で成り立つこの世界で、例えば船荷証券に真実と異なった記載(不実記載)をなぜしていけないのかなどと云う事例を勉強していくうちに、英法に由来する「エストッペルの原則」に行き当たるが、これは日本の民法にも「真実誠実の原則」という形で摂取されている法理念である事を知る。


エストッペルの原則は日本語では「禁反言の法則」と呼ばれているもので、「自分の摂った言動(または行為)に矛盾する言動(行為)をとってはいけない」と云うものである。例えばAさんがBさんにお金を借りていて、町で二人がばったり会った時に、「あのお金は1ヶ月後に返します」とAさんが口にしたら、1ヶ月の間に借金の時効が来てもAさんはBさんに「時効だから払わない」と云う事はもはや許されない。AさんがBさんに一旦信頼を与えたら、この信頼を由なく背く事はできない、という事である。


同様に海賊が跋扈するソマリア沖に船が行く場合に、乗組員が「特別にボーナスを出せ」と船主と交渉し、一旦金額が合意した場合、仮にソマリアで海賊の被害にあって乗組員が船主に自らの被害の賠償請求をしても、それが認められるかはエストッペルの原則で簡単ではないとこの法則は教える。交渉をして合意した以上は、その後に被害にあっても必ずしもすべて求償できる訳ではない様である。


若い人たちとそんな事を勉強していたら、メディアでは複数の交際相手が次々と不審死を遂げた女性の裁判に関するニュースが流れている。真実は公判で明らかになるだろうが、言葉や行動で結婚を匂わせながら、裏では他の複数の男性と同時に付き合う事を「そういう事が特異な事とは思っていなかった」と被告は答えたと云う。結婚をしたいと発言して信頼を得ておきながら、つぎつぎ相手を変える行動を見ていると、世の中にはエストッペルの完全に反対を行く人もいるものだ、とあらためて人間の多様性に驚くのである。

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