ALWAYS三丁目の夕日'64
ALWAYS三丁目の夕日'64を見た。これまでの二編の後を継いで昭和39年オリンピックが開催される頃の東京を舞台に、鈴木オートの家族の様子や小説家・茶川の生き様がノスタルジック一杯なシーンと共に展開される。画面を見ていると昭和39年ごろは高度成長が始まった一方、近所付き合いがそこかしこで残っていた事、東京でも一歩表通りから入れば、ほこりっぽい横丁だらけで、町も職場もタバコの煙っぽかった事などが思い出される。
この映画が人気なのはストーリー展開のダイナミックさや面白さと共に、時代考証に破綻がなく観客を自然にあの時代に運んでくれる事であろう。この種の映画を見ていて、ふと「ちょっと違うんだよね~」と違和感があると、急にその事が気になって白けてしまうものだが、ALWAYSはその辺は綿密に往時の風景や風俗を再現していて、その緻密な映画つくりが人気の一つなのであろう。
例えば劇中の音楽「無責任一代男」は昭和37年、「学生節」は昭和38年のヒット曲だし、鈴木オートに入庫してくるホンダS600は昭和39年発売の人気スポーツカー、茶川の帰郷シーンは、中央東線のおそらく急行「アルプス」と思われるキハ58系で、二両の2等車をはさんだ長大編成は「ああ、あの頃の国鉄線はこうだったな」と思わず観客を昔に引き戻す。そういうディテイルにこだわった演出が映画を飽きさせなくしているし、鈴木オートの住み込み「ろくちゃん」の交際相手のクルマがトヨタ・パブリカだと言うのも、妙に説得感があって時代のアイテムを物語の伏線として使う演出は憎い処である。
ALWAYS'64は笑いあり涙ありペーソスあり、寅さんの様に安心して見ていられる映画で、始めて見る3D画面の2時間はあっと云う間に過ぎてしまった。そういえば、ろくちゃんの交際相手の着ているセーターと、今日映画に行った私のセーターはまったく同じチルデンセーター、キャメルのVAN JACKETのブレザーも同じものを持っているし、当時のみゆき族の細身ズボンを除くと、映画の彼と私のワードローブはまったく同じ。やはり私はMAN FROM 60'Sと改めて思いながら、暖かい気持ちで映画館を後にした。
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