ステーキで誕生日
妻の誕生日に「何が欲しい」と聞いたら「ステーキが食べたい」と言う。妻は前世で肉が食えずに餓死したのかと思うほど、肉食(特に牛肉)にこだわりがあって、彼女とスーパーではぐれたら、肉売り場に行けば必ず見つかるという位だ。そこで牛肉のパックを手に取り、ためつすがめつ、どれを選ぼうかえらく逡巡しているのが、妻の買い物の常である。若い頃と違って今年もまた一才歳を取るのだから、あまり「ニク、ニク」言うなと説教するのだが、こればかりはどうにも止まらないのが彼女の性分らしい。
「ステーキ屋ならどこにする?」と聞くと、妻はネットであちこち検索した挙句、以前二人で行った事のある、丸の内国際ビル(帝劇ビルの棟続き)地下の”SCOT(スコット)”にしようと言う。何でもホテルなどで食べると飲食代の他にサービスチャージなどが付くので、スコットで食べたステーキの方が、同じ値段なら食べがいがあるらしいが、その肉に対する貪欲な姿勢に、私はいつもたじたじとなるのである。そういえば外国に行くと、妻は草履の様なステーキを注文して無理やりお腹に詰め込み、ホテルに帰っては「苦しい」と胃腸薬をよく飲んでいる。
国際ビルの「スコット」は開店してから40周年という事で、お店に入ると肉は旨いし、値段はステーキ屋さんとしてはリーズナブル、主に接待に使われる平日と違い休日はカップルや家族連れも利用している様だ。料理とともにアット・ホームなサービスを味わうと、この店が目立たないながらも丸の内の一等地で40年も続いて来た理由が何となく分かる気がする。当日は生ビールに始まり、ステーキコース(突き出し、サラダ、黒毛和牛ステーキ、焼き野菜、ガーリックライス、赤だし、おしん香、デザート)に足し肉を追加し、牛刺しや海老もついでに注文して、美味しいフルボトル・ワインをあけ二人で約二万円。「良質のタンパク質を食べると、幸せな気分になるものよ」と満腹で機嫌の良い妻を見て、やれやれ誕生日の義務を果たしたと肩の荷を降ろしたのである。
« ふるさと祭り東京 | トップページ | ”かけっこ”はやめられない »
「グルメ・クッキング」カテゴリの記事
- 烏森の焼鳥「ほさか」とニイハオ・トイレ(2021.02.11)
- 銀座 LA BETTOLA(ラ・ベットラ)の夜(2020.09.07)
- 米国産マツタケ(2019.11.23)
- 町の中華料理屋3(2019.06.23)
- 切腹最中(2019.01.09)
お誕生日おめでとうございました。
メールしようと思っていたのにもろもろで失礼しました。
奥様の肉好きは私も首をひねるところですが、彼女の姪も「魚と肉?そりゃ肉にきまってるでしょ!」な肉食女子。あ、でもお寿司は別だよ、だそうですが、ハムでも脂の部分が大好物。
恐るべしDNAが存在しております。
恐らく、前世ではなくて祖先に肉が食べられなくて餓死した人がいるんだと思います・・・。
末永くお付き合いくださいませ。
投稿: のすけ | 2012年1月10日 (火) 23時32分
祖先に肉が食べられなくて餓死した人がいるのでは仕方ないですね。遺伝子レベルには逆らえません。でも最近ようやく量より質を追求するようになりました。
相変わらず牛脂が好きです。牛脂の甘辛煮というレシピがあったので、今度挑戦しようと思います。本当の牛肉好きは牛脂が一番好きなのです。
投稿: 好きな言葉は黒毛和牛 | 2012年1月12日 (木) 21時11分
のすけさん
一族のエネルギーには圧倒されます。将来、人類が滅びる時に最後に残るのは妻の家系の遺伝子を持った人かも・・・?
投稿: バルクキャリアー | 2012年1月12日 (木) 23時32分