« サンクス・ギビング・デイ | トップページ | アメリカの陰謀でも・・・・・ »

2011年11月27日 (日)

増税のウソ

青春出版社の新書新刊「増税のウソ」を読んだ。本屋で平積みされていたものだが、財政が破綻する・日本国債がいずれデフォルトを起こす・消費税をアップし国の借金を減らせ、という巷間言われる日本の至上命題の中、これに反対する論者は何を根拠に反対するのか知りたかったのが購読の動機である。中味を読んで見ると、日本の国債は日本国内で保有されかつ円建てなので、ギリシャの様な危機などを起こすわけがない、デフレを脱却して名目GDPを挙げることこそが今の日本に必要な事で、そのために政府が有効需要、すなわち公共事業などにもっとお金を使わなければならないと云う。

著者の主張は、いわゆる有名な経済学者や政治家、官僚、メディアなどが毎日発信している現在の論調と対するものだが、経済学者でもない私には著者の主張の正否や問題点は判断する能力はない。ただ本書で展開された様な議論はすでに関係者によって充分に議論・検証された上で、現在の政策があるのではないだろうか、とも想像するのである。

さて経済に限らず最近お手軽に出版される各種新書などを読むと、従来の定説を覆す議論や新説に溢れていて、一体事の真相やその解決策はどこにあるのだろうかと私はしばし戸惑うのである。原発や放射能の危険に関する様々な本を見ると、「無闇な心配をするな」から「もう危機は始まって後戻りできない」までどれが本当なのかと迷うし、健康やダイエット本に到っては、俄かに信じられないどころか体に有害そうな珍説も流布している様である。私が永く行っているジョギングも、少し前までは「 走る運動などは、体内に活性酸素を取り入れるものだから健康に良くない」と解説する本もあったが、最近は「運動によって活性化酸素に対向する酵素?が体内でできるので良い」と言われているそうだ。わが国には発言や出版の自由があるので、色々な議論が発表されて然るべきだが、それにしても色々な分野で様々な説が発表・出版されるものだと感心するのである。

« サンクス・ギビング・デイ | トップページ | アメリカの陰謀でも・・・・・ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

日本国債は国内で消化されているので、ギリシャと違い当面はデフォルトの心配はないと思います。円が買われているのも、そうした背景があります。ただ多くを持っているシニア層や団塊世代が手放すようになると、事は深刻です。その時まであまり時間がないような気がします。今はジェットコースターで云えば、上りきってやや下りかけた頃、これから急激な人口減少で一気に突っ込んで行くと思います。あまり考えたくありませんけど。

MTさん
この本では、信頼があるから日本の国債が低金利で売れるとありますが、何かで国への信任が一旦崩れた時の事は書いてありません。今起きている現象はほとんどデフレのせいで、増税ではなく公共投資をとの事ですが、どうも俄かにはウンと言えない気がします。

事の真相を知るというのは本当に大変なことです。裁判を起こしたって事の真相は闇の中と言うことがありますよね。特に経済活動についていえば、そこに人間の意思、思惑が働く場所ですから、物理法則のように一筋縄ではいきません。だからいろいろな人が適当にいろいろなことを主張し、「何とかのウソ」と言う本が巷に氾濫するのです。こうした{ウソ}見破る方法は只一つ、ある学者があることを得意げにしゃべったら、その後の結果を何年もずっと追っかけていくことです。そして、その人が主張した結果とその後の言動を見てその人の誠実さを推し量ることと、その披露した知見をチェックすることです。その観点で見たとき、今世間で活躍していらっしゃる経済学者は殆ど失格と思います。「増税のウソ」にしても叱りです。著者は経済知識をきちんと持っているかもしれませんが、今現下に起きている経済問題の解決には殆ど役に立たないことを言っています。はっきり言えば、とんでもない成長幻想を持った人達で今の世界の現状を全く見てないとしか言いようが無い主張だと思います。先進各国が成長して今の苦境から抜け出たいと思っているのに、成長できないから困っているのです。そうした事態に対し、経済学者がきちんとした処方箋を出せないから困っているのです。こうした状況下では為政者は経済政策ではただただ迷うばかりです。

金山正男さん


コメントありがとうございます。経済に限らず医療や放射能、天変地異に至るまでお手軽な新書が次々と出版され、そのどれが口伝でなく実際に著者によって書かれたものなのか、データの抽出方法や取捨選択のやり方が妥当なのか、迷うばかりの異論乱立です。金山さんが言われるとおり、経済成長できているならとっくにその手が打たれているはずで、この手の異論は結果と手段をごちゃごちゃにしているのでしょうか。私は日本は世界有数の社会主義国で、これ以上の福祉は必要なしと考えますが、現状では消費税増税は不可避であり「増税のウソ」の著者などは世界的な流動性過剰、投機資金の動きを甘くみてはいるのではないかと思っています。

まさに「お手軽な」と言う言葉がぴったりの情報の氾濫ですね。この手の本は、理論的に、或いは学説としてきちんと証明されていないために学者や識者が勝手に自分の意見が言えるわけです。私はそうした情報を見たり、聞いたりする場合、そうした主張に対し出来る限り自分流の論理証明、或いは矛盾証明を試みたり、その主張者が過去にどの程度真剣かつ真摯にその問題に取り組んできたかを判断基準にします。放射能について言えば、広島に原爆が投下されて70年近い歳月、冷戦下での原爆実験とその後の人類の経過を考えれば、どれくらいの影響になっているかと今後の予測はそれなりに各自で立てられると思います。専門家が本当にその問題に真剣に立ち向かった結果として、間違えたのなら、それは運命であると、人はそれを受け入れないといけないと思います。。しかし、今回の福島原子力発電所事故と事故後の専門家の対応は、私の基準からすれば専門家としての職務を全く放棄したに等しい。そうした点では東電、原子力保安院、原子力委員会、その他の専門家全員(過去一貫して問題を指摘してきたごく一部の専門家を除く)首です。
今の経済の問題について言えば、ご指摘の通り、世界の過剰流動性が全ての問題の始まりです。その源流はと言えばアメリカが経済で急台頭する日本に負け始め、国がだんだん苦境に追い込まれる中、ニクソンの”ドルー金の交換停止”を打ち出し、ドルが自由に発行出来るようになったことです。そのようにする事によりアメリカの金融政策が自由度を増し、アメリカは経済を立て直すことが出来ると考えたことです。ところがそれでも何とかならなかった。日本はドルが高くなっても、それに耐え、コストを下げ、競争力を保っていった。アメリカはそれを日本の市場の閉鎖性が問題だとして、市場の開放を強く要求し、いつの間にか規制緩和、自由貿易さえすればアメリカの経済は何とかなると信じ、世界もそれを支持したことです。つまり、今の流れは全てアメリカが国際競争力を失っていく中で、それを立て直そうとして、いろいろなことを試し、最終的にグローバリゼーションを進めていった結果です。それで何とかなると思ったはずです。また世界の人たちも、もちろん日本も含めて、グローバリゼーション、自由貿易規制緩和は世界の経済のためにもよいことだと思ったからこそ、今の世界があるのだと思います。問題はそれでアメリカの経済がうまくいったのなら何の問題もなかったはずです。しかしそうはならなかった。結局その間に日米を源とする過剰流動性は極限まで膨らんでいき、世界の問題は更に深刻化していったのが今の世界の現状だと思います。このことを世界がまず認識する事から始めなくてはいけないと思います。人間が作ったシステムで苦境が起きたのなら、必ず人間の手で直せるものです。要は今の世界のリーダー達にその認識と現状を変革する勇気が残っているかどうかだけです。このままたいした変革もとらないまま進んでいって今よりもっとひどい世界を見るのか、苦しくともみんなで頑張って今のシステムを真剣に作り直して生きていくのかの岐路に立たされていると言うのが私のいまの経済に関する歴史認識です。

金山正男 さん

コメント再びありがとうございます。原子力についても、過剰流動性についても、流布される説が正しいのか、またメディアが正しいのか、つねに自分なりに考えていく事なのでしょうね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« サンクス・ギビング・デイ | トップページ | アメリカの陰謀でも・・・・・ »

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ