見上げたもんだよ風呂屋の○○○○
にっぽん丸のクルーズ料金が、都民クルーズで割引になると云うのでこの週末を利用して" ウイークエンド・秋の伊豆諸島周遊クルーズ"に参加した。金曜日の午後7時、仕事にけりをつけ、東京港から伊豆七島に向かうこのクルーズは”東京シティー・フィルと楽しむ週末”と云うテーマクルーズである。2泊3日のノンストップクルーズは、東京シティーフィルによる船内コンサートのほか、団員によるワークショップなどクラシックのイベントもあり、テーマによるものか "乗客の織り成す雰囲気" と云う点では、今までの国内クルーズの中では、特に気持ちの良いクルーズであった。
私たちの今回の乗船の理由は、都民割引というインセンティブの他に、”飛鳥Ⅱ”ワールド・クルーズで延々と習ったダンスを忘れない為に、ここらで一度復習をしてみようかと云う気持ちもあった。なにせちょっとステップを習っても、スポットライトに浮きあがるステージをダンスのカップルが縦横に踊るのを見ているだけで、気弱な私などは尻込みしてしまう性質である。しかしあの世界一周のダンス練習成果が自分の心身にどの程度変化をもたらしたのかを見るのは、”にっぽん丸”のダンスフロアーが絶好の舞台、なにせ生バンドでダンスを踊れる様なホールは都内でも今や数軒しかないそうだから、船の社交ダンス会場はこれ上ない復習の場なのである。
「 ここで逃げたら男じゃない 」と覚悟を決めて初日のコンサート後に、夜の社交ダンス会場をおそるおそる覗いてみる。すると居ました、例の通りダンス好きそうな男女がダンスシューズをはいて処狭しと踊っているのである。今までなら「 あの中に飛び込むのは勇気がいるなあ 」「 人が見ているなあ 」などと感じただけで頭の中が真っ白になり、その次の足が出なくなって「 やっぱり帰ろう 」とダンスモードになった妻の不興を買ったところである。ところが今回は「 よしあれだけレッスンを受けたのだから、行ってしまえ 」とくそ度胸も定まり、達人たちのステージに妻と勇躍乗り出す。
すると、何故かいつもよりスムースに体も動き出して、心配した「 頭の中が真っ白 」という現象も起こらない。もちろんちょっと忘れたり詰まったりもする処もあるのだが、結構冷静にリカバリーをしてルーティンに戻せるとは我ながら大したものである。ラテン・モダンと数曲こなす中なぜだか急に自信も湧いてくるのだが、こうなると現金なもので、「 なんだうまい人との差も、相対的なものじゃないか、そのうち何とかなるさ 」などと、無闇に根拠なき自信が湧いてくるのも私の単純なところ。結局二晩で2時間半ほど妻もびっくり、エネルギッシュにダンスを踊ったのであった。
たしかに私の学校には「 練習は不可能を可能にする 」という名言があり、スポーツでは「 流した汗は無駄にならない 」などという言葉もあるが、ダンスまた然りで、あれだけ練習回数をこなせば、何とか私の様なシャイな人間でも人前で踊れる様になる事が実証されたのである。この日が来るのを待ってきつい言葉や「 蹴り 」で私をリードしてきた妻が、「大したもんだ、人前で躊躇しなくなったのは 」と誉めれば、私も「我ながら見上げたもんだよ、風呂屋のフンドシ 」と寅さんのセリフが自然と口から出てきて、思わず船上で口笛を吹くのである。
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コメント
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その内、その都民割引、連れて行って下さい。
投稿: MT | 2011年10月31日 (月) 22時19分
二度目のコメントになります。 k.kと申します。
私も船旅が好きで、いろいろな乗船記を探すうちに、お二人のブログに出合いました。
船旅といっても私の場合、予算と休日の都合上、もっぱらフェリーばかりですが、今年は初めて「にっぽん丸」と「飛鳥2」に乗船しました。
お二人は度々「にっぽん丸」に乗っておられるようですが、私が乗ったクルーズは期待を大きく裏切るもので、正直、幻滅しました。
そのあとに乗った「飛鳥2」が、素晴らしかったので、余計に落差を感じてしまいました。
「にっぽん丸」はクルーズによりバラツキが大きいのでしょうか。
投稿: k.k | 2011年10月31日 (月) 22時51分
MTさん
早く帰国されたし、家族そろってクルーズいきましょうよ。
投稿: バルクキャリアー | 2011年10月31日 (月) 23時23分
K.Kさん
コメントありがとうございます。どの点で幻滅されたのか良く存知ませんが、私は、飛鳥Ⅱはハードという点ではにっぽん丸を凌駕していると感じます。高級ホテルとビジネスホテルほどの差があるのではないでしょうか。
ただそれで、料金に大差がない、というのはソフト面ではにっぽん丸が大健闘しているのかな、とも逆に感じます。
私の飛鳥乗船は中長期のクルーズ、
にっぽん丸は比較的短期クルーズが多いので一概には比較できませんが、食事はにっぽん丸が確かに上、乗客の雰囲気もにっぽん丸が上品かなと今回も感じました。私はにっぽん丸に何ら関係ありませんが、幻滅されたのがどの点だったのかお教えいただけるでしょうか。
投稿: バルクキャリアー (ブログ主) | 2011年10月31日 (月) 23時35分
私の説明が足りずスミマセンでした。
また、不愉快にさせてしまったのでしたら謝ります。 そんなつもりは全くありません。
私が乗船したのは、1月のワンナイトクルーズでした。 私にとってこれが初めての客船体験になります。
「にっぽん丸」は改装したばかりできれいでしたし、デザインも優美で好きな船です。
私がガッカリしたのは実はソフト面なのです。
二つのクルーズのはざまの回送目的のようなカジュアルワンナイトでしたが、私の休日と一致したので乗船しました。
しかし、乗船率がたいへん悪く、そのためなのか、乗務員のモチベーションが明らかに低いのを感じました。
細かく具体例を挙げると悪口になってしまうので失礼させてください。
いろいろな「にっぽん丸」乗船記を読んでみると、絶賛する人、がっかりしたという人、さまざまなので、やはり感じ方は人それぞれなのでしょう。
私も機会があれば、また「にっぽん丸」に乗りたいと思っています。
やっぱり船が好きなのです。海が好きなのです。
東京マラソン、がんばってください。
投稿: k.k | 2011年11月 2日 (水) 22時13分
K.Kさん
わざわざコメントをありがとうございます。まったく気など悪くしておりませんので、時々コメントがありましたら是非お寄せ下さい。
にっぽん丸の最初の乗船で、あまり快適でなかったご様子で残念でしたね。飛鳥Ⅱが良くも悪くもいわば「 全国版 」なのに対し、にっぽん丸はちょっと「仲間内」的な面があるのかと私も感じる時があります。クルーも概してシャイな感じで、慣れぬと「おやッ」と思われるかもしれません。
今回も私はアンケートにはびっしりとコメントを書きましたが、是非気にいらぬ点はご指摘になったら良いと思います。こちらが考えている以上に、船会社は真剣に読んでいると感じる事があります。
投稿: バルクキャリアー (ブログ主) | 2011年11月 2日 (水) 23時26分